ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

333繋ぐ●統合ICT基盤分野3.2 ネットワークシステム研究所2 .光統合ネットワーク技術1 テラbps級多信号処理に向けて、400ギガbps級光信号伝送に必要となる16 QAM(Quadrature AmplitudeModulation)多値変調信号のバースト光信号送受信技術を実証した。さらに、本送受信技術と産学官連携で開発した「強度変動抑制・低偏波依存・低波長依存かつナノ秒オーダーの高速な電界吸収型光スイッチ」を用いて、16 QAM多値変調信号の光スイッチング及び周回伝送実証実験を行った。従来の高速半導体光スイッチでは、振幅・位相変調光信号に対してスイッチングを繰り返すと信号のひずみや雑音が大きくなり伝送距離を延ばすことが難しく、スイッチ回数は6 回、伝送距離300 kmまでであった。しかし、電界吸収型光スイッチを用いた本実験では、16 QAM多値変調信号に対して、従来比1.6倍以上となる世界最高のスイッチ回数10回及び伝送距離500 kmと良好な結果を得ており(図2 )、関東圏程度のバースト信号光ネットワークの構築が可能であることを実証した。また、16 QAM多値変調信号の送受信及びスイッチングの良好な結果より、1 テラbps級多信号処理に必要となる16値以上の多値変調光信号に対しても有効である可能性を見いだした。3 .光アクセス・光コア融合ネットワーク技術光アクセスネットワーク延伸化技術として、冷却不要でパターン効果の小さい量子ドット半導体を用いたQDSOA(Quantum Dot Semiconductor Optical Amplifier)を開発し、既存の低消費電力バーストモードEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)と組み合わせて、メーカー間合意規格(MSA:Multi Source Agreement)に準拠したサイズ(70 mm×90 mm×14 mm)のPON(PassiveOptical Network)中継用光増幅モジュール(図3 )の試作に成功した。これまで実現が難しかった上り回線(ユーザ宅から局舎)用光増幅器(1.3 μm帯QD-SOA)を開発し、下り回線(局舎からユーザ宅)用1.5 μm帯EDFAとのコンパクトなパッケージングを実現したことにより、より実用的な10 G-EPONの上り下り回線を合わせた延伸化及び多分岐化を可能とした。図3 小型・低消費電力光アクセスネットワーク用増幅器光フィルタドライバ回路ドライバ回路3.3V3.3VEDFAQD-SOA(冷却不要)上り回線下り回線WDMカプラ量子ドットQD-SOAパッケージ上り回線下り回線図2 電界吸収型光スイッチを用いた16QAM光信号の周回伝送実験とその結果高速電界吸収型光スイッチスイッチ10回、500km伝送バースト信号バースト信号送信器バースト信号受信器伝送後でも信号品質が良好(信号点の間隔がはっきり離れていると品質が良い)受信時の変調信号点配置図