ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

36路を用いて受信端末に送信する。また、受信するデータ損失を最小限に抑えるため、ストリーミングアプリケーションが許容する最大遅延及びネットワーク内リンクの遅延とデータ損失率を推定し、それらに基づいて、ネットワーク内キャッシュ機能と符号化機能を用いた損失データの復元を行い、低遅延かつ高品質なストリーミングを実現する。L4C2は、CCNの代表的方式CCNxと比較して制御トラヒックを80%削減し、ユーザ体感品質を最大25%向上することをシミュレーションによって明らかにした。本成果は、ネットワーク分野における世界最高峰のフラッグシップ国際会議IEEE Infocom 2017に採択された。2 .光アクセス基盤技術(1)パラレルフォトニクス基盤技術より身近な中短距離通信で利用可能な小型・高機能ICTデバイスを実現するために、デバイス材料の適材適所(材料の特長を最大限に引き出す)の発想の下に異種材料を融合する「ヘテロジニアス技術」と、光と高周波の融合を実現するための機能集積デバイス技術の研究開発を推進した。シリコンフォトニクス集積光回路(Siphotonics integrated circuit:Si-PIC)と化合物半導体による高性能量子ドット光ゲインデバイスを融合し、従来テーブルトップサイズ(一辺が数10 cm程度)であった広帯域波長可変量子ドット光源の超小型化(0.002 cc、図3 )に世界で初めて成功した。本光源は超小型でありながら、図4 に示すように波長1200?1244 nm( 8THzの広帯域)の光生成が可能である。これは、従来の光通信に利用されているCバンド(波長1530?1565 nm、帯域4 THz)のおよそ2 倍の周波数帯域となり、利用可能な通信チャネル数の増大に貢献する。また、同集積技術を用い単一の超小型集積光デバイスで二波長を同時に生成することに成功し、その成果は光通信関連で著名な国際会議Optical Fiber Communications Conferenceの招待講演に採択された。当研究室では、無線信号と光信号をシームレスに変換し伝送するための光ファイバ無線技術の基盤技術として、光電気変換技術を研究している。この技術をさらに発展させ、デバイス駆動電力線が不要な100 GHz級で動作する超高速・高効率光電気変換デバイスの開発に成功図2 コンテンツ名を用いた高品位ストリーミング(L4C2)①マルチキャスト同じデータを複数ノードに送信② ネットワーク内コーディング符号化冗長データ生成③ 再送処理データが届かない場合、キャッシュのデータを送信④ マルチパス1データを複数ルートから受信階層化ビデオデータ符号化冗長データ③①②キャッシュ④④キャッシュキャッシュキャッシュネットワーク内処理図3 超小型(米粒より小さい)広帯域波長可変量子ドット光源図4 広帯域波長可変量子ドット光源が生成する光の波長特性-60-50-40-30-20-1001200 1210 1220 1230 1240 1250波長(dBm)(nm)