ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

373繋ぐ●統合ICT基盤分野3.2 ネットワークシステム研究所した。また、同デバイスとマルチコアファイバ伝送技術を活用し、100 GHz級高周波信号とデバイス駆動のためのエネルギーを光ファイバで同時に配信・給電する技術を世界に先駆けて確立した(図5 )。本技術により無線アンテナの電力供給線が不要となり、シンプルなアンテナ構成が可能となる。これらの研究成果は、世界最大級の光デバイス関連国際会議TheConference on Lasers and Electro-Opticsで最優秀論文(通称ポストデッドライン論文)の特別セッションに採択された。(2)100 Gアクセス基盤技術アクセスネットワークでは、無線通信部の大容量化・高周波化だけでなく、いかに効率的に、かつ早く無線信号を光ファイバ通信ネットワークに収容するかが大きな課題である。その課題を解決する技術としては、光ファイバ無線技術が非常に有効であると考えられている。この光ファイバ無線の大容量データの送受信に必要な基盤技術として、ミリ波やテラヘルツ波等の周波数が高い無線信号の波形を、光ファイバを介して遠方まで配信するための高精度・高周波基準信号の生成技術「ミリ波/THz帯基準信号源」の動作実証に成功した。これまでは、100 GHzを超えるような周波数の高い無線信号を生成・配信することは困難であったが、当研究室で培った高度光波制御技術を応用し、1 THzを超えるような広帯域にわたって周波数間隔の整った光コム信号を生成させる技術を確立することで達成した。図6 は、実験の概要図と開発した光コム生成技術を組込んだ高精度基準信号源で無線信号の波形を生成し、無線で送信した周波数1 THz信号の16値直交振幅変調(QuadratureAmplitude Modulation:QAM)信号の復調コンスタレーション図であり、誤差ベクトル強度(EVM:ErrorVector Magnitude)17%程度の良好な変復調を確認した。また、同「ミリ波/THz帯基準信号源」を用い、光と75?100 GHz、300 GHz、1 THz無線信号の相互変換(光・無線・光ブリッジ伝送)の動作実証に成功し、光通信と周波数が高い無線通信のシームレスな接続を可能とする革新的技術を確立した。これらは、第5 世代移動通信システム( 5 G)以降の光/無線融合アクセスネットワークの構築に重要となる基盤技術であり、技術の確立に向けて更なる研究開発を進める。図6 光と高周波をシームレスに融合する光ファイバ無線のための基盤技術光電変換75-100GHz, 300GHz, 1THz光ファイバ無線基準信号源光コム生成技術組込み送受信器光電変換送受信器16QAM信号コンスタレーション図5  高周波信号とデバイス駆動のエネルギーを光ファイバで同時に配信・給電する技術光ファイバ増幅器100GHz級高周波信号光エネルギー光給電による駆動用電力小型アンテナ100GHz級超高周波無線信号デバイス駆動用電力線不要電力電力高効率・超高速光電気変換デバイス