ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

38■概要情報通信ネットワークにおけるワイヤレスの利活用は急激に増加しており、生活になくてはならないものとなっている。これに伴い、次世代移動通信システムや大容量衛星通信、IoTといった新たな価値創造と、これまでにない安心をつくるシステムやアプリケーションを実現するために、新たな周波数利用により生活を豊かにする技術や、地上・海洋から宇宙空間まで広がるネットワーク環境の実現に向けた研究開発が求められている。ワイヤレスネットワーク総合研究センターでは、研究テーマに対応した2 つの研究室(ワイヤレスシステム研究室、宇宙通信研究室)を中心に、ワイヤレス分野の更なる発展を見据えて総合的な研究開発を実施している。第4 期中長期計画においては、ワイヤレスネットワーク基盤技術及び衛星通信技術として、以下に関する研究を実施する。・ 既存システムの拡張を目指して、5 Gアプリケーションへの寄与を前提とする周波数共用、トラヒック分散技術等に関するワイヤレスネットワーク制御・管理技術・ 新規システムの創生を目指して、ビッグデータ構築に有効なモノ同士通信等について、利用環境に応じた無線デバイスの多様化技術等に関するワイヤレスネットワーク適応化技術・ 無線通信環境の拡張を目指して、インフラの整備状況、無線伝搬状況等が劣悪な環境への無線適用に関するワイヤレスネットワーク高信頼化技術・ 地上・衛星間光データ伝送における通信品質向上に関するグローバル光衛星通信ネットワーク基盤技術・ ユーザ当たり100 Mbps級の伝送速度を目指す大容量の次期技術試験衛星の研究開発や、海洋利用等に関する海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信ネットワーク基盤に関する技術平成28年度は本中長期計画の初年度であり、次年度の研究開発につながる基礎・基盤的な技術に関する取組を開始し、一部の得られた成果について国内外の社会展開を見据えた標準化活動を行った。また、各種イベントの開催、視察者の対応など、研究成果の対外的な情報発信に努めるとともに、ワイヤレス分野の専門的な知見に基づき、総務省の施策等に対する貢献を行った。■主な記事1 .研究開発の推進研究成果の詳細は各研究室の項を参照いただきたい。平成28年度の特筆する成果を以下に記す。(1)ワイヤレスネットワーク基盤技術異種通信事業者間におけるユーザ情報の交換・共有によるサービスの拡大のためのアーキテクチャ、リソース共用技術等といった、5 Gのマイクロセルを中心とした柔軟なセル展開が可能となる無線ネットワーク技術を検討した。さらに、ミリ波帯電波の利用を推進するため、電波伝搬モデル構築や周波数共用技術を開発した。また、マイクロセルを適用する空間(管理空間)における自動運転、鉄道ブロードバンド、オフィスIoT等の利用シナリオに対する評価環境を企業・通信事業者等と連携し開発して、実証実験要領の検討を推進した。さらに、成果普及に効果のあるITU-R、3GPP、IEEE802、IETF等の標準化への寄与を行った。(2)衛星通信技術50 kg級超小型衛星で世界初となる衛星搭載小型光通信機器(小型光トランスポンダ:SOTA)を用いた低軌道衛星-地上間光通信実験において、2 年以上の運用期間にわたって光通信実験を成功裏に遂行して、国際共同実験や量子鍵配送基礎実験等を成功させた。平成29年2 月には関係機関を招集してSOTAワークショップを開催した。一方、次期技術試験衛星に適用するための移動体衛星通信システム技術として、Ka帯電波/光のハイブリッド衛星通信システムの概念設計を取りまとめた。次期技術試験衛星による宇宙実証機会の実現に向けた活動として、総務省と連携し連絡会議の立ち上げやミッション-バス間のインターフェース調整、周波数ファイリング等を推進した。2 .各種イベントの開催最新の宇宙通信技術の研究開発に関する国際ワークショップのBroadSky Workshop(10月17~20日、米国クリーブランド市)や、国際的な学術会議であるThe19th International Symposium on Wireless PersonalMultimedia Communications(11月14~16日、中国深ワイヤレスネットワーク総合研究センター総合研究センター長(兼務)  門脇 直人3.3