ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

433繋ぐ●統合ICT基盤分野3.3 ワイヤレスネットワーク総合研究センター光リンク運用のための大気特性と予測に関するマジェンタブック(実践推奨規範)に向けた作業内容をエディタとして提案するとともに、超高速光衛星通信規格に関するオレンジブック(実験規格)の策定に向けて関係機関と合同提案し、さらに、簡易型光衛星通信規格の策定に向けて関係機関と調整するなど標準化活動に貢献した。2 . 海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信ネットワーク基盤技術の研究開発(1)次期技術試験衛星に適用するための移動体衛星通信システムの技術検討として、従来にないブロードバンド、フレキシブルかつKa帯/光のハイブリッド衛星通信システムの概念設計を取りまとめた(図3 )。本システムの搭載フレキシブルペイロードの中継器モデルとしてデジタルビームフォーマ(DBF)/チャネライザとKa/光フィーダリンクを有する中継器の概念設計を実施した(図4 )。加えて、本システムの次期技術試験衛星による宇宙実証機会の実現に向けた活動を行い、総務省と連携し連絡会議の立ち上げやミッション-バス間のインターフェース調整、周波数ファイリング等を推進した。さらに、次期技術試験衛星の搭載固定マルチビーム通信機器の開発について総務省電波利用料の委託研究を代表研究機関として受託し、本格的に研究開発を開始した。(2)広域・高速通信システム技術として、次期技術試験衛星の搭載通信機器の機能要求の検討とシステム設計を行うとともに、通信ミッション機器間のインターフェース調整に着手した。また、搭載フレキシブルペイロードとして可動ビーム通信機器の中継器モデルの概念検討を行い成立性と課題を抽出した。高効率回線制御の方式検討に着手し、トラヒックモデル作成のためのデータを調査するとともにチャネライザやDBFを用いた帯域割当の基本制御アルゴリズムを検討し、簡易シミュレーションによりアルゴリズムのフロー動作を確認した。さらに、Ka帯伝搬特性測定としてWINDSを用いた移動体伝搬特性等を継続的に実施するとともに、大規模災害医療訓練等での災害時臨時回線の提供、船舶通信実験や高信頼型通信プロトコル(HpFP)の衛星伝送実験を実施した。(3)災害時の臨時通信に有効な通信形態の実証の一環として、熊本地震への対応で高森町に地域通信ネットワーク設備等と連携し、WINDSを用いた衛星臨時通信回線を提供し衛星通信の災害時における有効性を示した(図5 )。(4)柔軟・機動的にブロードバンド通信を提供する地球局技術について、ネットワーク統合制御地球局の方式検討として、地球局への機能要求を検討し概念的な機能構成を明らかにした。また、小型・高機能移動体地球局の方式検討として、飛翔体等へも搭載可能な小型・軽量モデムの基本設計を実施した。(5)国際標準化については、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)において移動通信と衛星通信を統合した統合MSSシステムに関するITU-R報告M.2398-0の完成に寄与し、また、ITU-Rにおいて統合MSSシステムの新報告草案への修正提案や、アジア・太平洋電気通信共同体(APT) のAPT Wireless Group(AWG)において統合MSSシステムと衛星・地上ハイブリッドシステムの検討に関する改訂提案を行うなど、寄書各1 件を提出し標準化に貢献した。図3 海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信システムのイメージ図5 熊本地震の際に高森町役場に設置したWINDS用地球局図4 搭載フレキシブルペイロードの中継器モデルのイメージ図