ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

46■概要本研究所は、真に人との親和性の高いコミュニケーション技術や知的機能を持つ先端技術により、国民生活の利便性の向上や豊かで安心な社会の構築等に貢献することを目指した研究開発を実施する。具体的には、社会に流布している膨大な情報や知識のビッグデータ(社会知)を情報源として、有用な質問の自動生成やその回答の自動提供等を行うことにより、非専門家でも専門的知識に容易にアクセスすることを可能とし、かつ、利用者の意思決定において有用な知識を提供するための技術を研究開発する。また、インターネット上に展開される災害に関する社会知について、各種の観測情報と共にリアルタイムに分かりやすく整理し、利用者に提供するための基盤技術を耐災害ICT研究センターと共同で研究開発する。さらに、各種の社会システムの最適化・効率化を実現するため、高度な状況認識や行動支援を可能にするための画像解析技術を研究開発する。これらの技術により、人と社会にやさしいコミュニケーションの実現及び生活や福祉等に役立つ新しいICTの創出を目指す。■主な記事1 .次世代対話技術の研究開発社会知の解析を目的として大規模なWebページを分析するWISDOM Xの技術は対災害情報分析システムDISAANAや災害状況要約システムD-SUMMに活用されている。H28年度からは新たにWISDOM Xの技術を活用して、Web上における大量の知識から多様なトピックに関する対話を行うことが出来る次世代対話技術の研究開発を開始した(図1 )。そして、プロトタイプとして「WISDOMくん」を開発した。開発においては、社会知における重要な要素である、“社会において発生している問題”をWeb上のテキストなどから広く認識できる技術を開発した。さらに、より多くのWebデータの処理を可能とするために大規模クラスタコンピュータ上で大規模な自然言語処理を稼働させるためのミドルェアの改良などを行った。2 . 熊本地震における耐災害情報分析システムDISAANAの活用(耐災害ICT研究センターとの共同開発)平成27年4 月に公開したDISAANAが内閣官房のツイッター分析班で活用され、現地災害対策本部に指定避難所以外のニーズ等を情報提供した(図2 )。当初、研究開発用に購入していた全日本語ツイートの10%のデータで分析していたが、DISAANAの有効性を認めたツイッター社の協力により、平成28年4 月23日から5ユニバーサルコミュニケーション研究所研究所長  木俵 豊3.4図1 社会知解析技術の研究開発概要「社会全体の知」を分析する社会知解析技術の研究開発を推進大規模Web情報分析システムWISDOM X(Webページを意味的に解析して質問に回答)対災害情報分析システムDISAANA災害状況要約システムD-SUMMWISDOM Xの技術をTwitter上の災害情報分析用途にチューニングして開発次世代音声対話システム等WISDOM Xの技術を発展させて次世代の対話技術を開発