ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

52■概要脳情報通信融合研究センター(CiNet:シーネット)は、脳科学と情報通信の融合研究を行う組織として、NICT、大阪大学、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を中核に、他大学、企業とも連携した融合研究を推し進めている。CiNetは、脳情報通信融合研究室と脳機能解析研究室の2 つの研究室から構成されている。平成28年度から開始した第4 期中長期計画では、データ利活用基盤分野において、生活の向上や福祉等に役立つ新しいICTを創出するため、情報の送受信源である人間の脳で行われている認知や感覚・運動に関する活動を計測、得られた脳情報をデコーディングやエンコーディングし、効率的に活用する技術の研究開発により、脳情報通信技術の創出に資する新たな知見獲得を目指すこととしている。そのためCiNetでは、1 .「こころ」が伝わる情報通信技術(HHS:Heart to Heart Science)、2 .人の脳機能に学ぶ情報通信ネットワークの構築(BFI network, Brain-Function installed Information network)、3 . 高度なコミュニケーションを実現するインタフェース技術(BMI:Brain-Machine Interface)、4 .脳機能を情報通信へ展開するための基礎技術(計測基盤技術、BrainImaging Techniques)という大きな4 つの研究領域を設け、脳や細胞などにおける情報処理のネットワークシステム(生命システム)のメカニズムを情報通信技術やAIに応用すること、さらには、脳機能の理解を進めることで新たなコミュニケーション、AIの可能性を開くことを目指した研究体制を構築している。■主な記事国際会議・シンポジウムの主催、産学官連携と国際化の推進1 .第6 回CiNetシンポジウムの開催平成28年6 月18日土曜日に、グランフロント大阪 ナレッジキャピタル コングレコンベンションセンターにおいて、CiNet(NICT、大阪大学、ATR)主催により第6 回CiNetシンポジウム「おもろい脳科学~進学も、就職も、仕事も、何でも楽しく切り抜けよう~」が開催された。対象は一般の方々で、223名が参加した。若い参加者が多く、20代以下が3 分の1 を占めた。招待講演では、理化学研究所脳科学総合研究センターシニア・チームリーダーの田中啓治氏が、エキスパートと普通の人の脳の違いについて講演した。将棋の達人は、直感的に想起された手の中に最善手が必ず含まれているが、普通の人には含まれていないなど、興味深い内容だった。CiNetの研究紹介では、最近活躍が顕著なNICTの研究者3 名と、ロボット研究で著名な浅田稔大阪大学教授が講演を行った。いずれの講演者も動画や写真を駆使した熱のこもった講演を行った。2 . 情報の認知と行動研究会ワークショップ2016への参加(CiNet全体会議の開催)平成28年10月6 ・7 日、紀州南部ロイヤルホテルにて、電子情報通信学会「情報の認知と行動研究会ワークショップ2016」が開催され、NICT、大阪大学、ATRからCiNetのメンバーが85名(うち学生16名)出席し、熱い議論を戦わせた。プログラムは、AIとneuroscienceとの関係をテーマに3 つの講演、ポスターセッション、全員参加型討論会にて構成された。CiNetとしては、全員参加型討論会を全体会議として位置づけ議論に参加した。講演は、NICTの篠崎隆志研究員によるチュートリアル「Brain AI and Brain Science」、NTT上田修功氏による「Recent Advancement in Machine Learning Research」、東京大学/CiNetの池谷裕二教授による「Brain & AI」が行われた。ポスターセッションは2 セッションが開催され、活発な意見交換が見られた。討論会は、AI forBrain scienceとBrain Science for AIという2 つの方向性を軸とした研究の可能性に焦点を当て、豊富な実験データの蓄積などを、AI研究、AI研究と脳科学の密接な発展にどう活用できるかなど活発な議論が行われた。3 . International Symposium ‘Brain Network andBehaviour’ 開催平成28年7 月20日に、CiNetの柳田敏雄研究センター長をMeeting Chairとして、「Brain Network and Behaviour(脳内ダイナミクスと行動)」と題したInternationalSymposiumが開催された。NICTと大阪大学が主催で、日本学術振興会と大阪大学大学院生命機能研究科が協賛の開催となった。案内・周知が会期直前にもかかわらず97名が参加し、CiNetにおいて国際的かつ活発な研究交脳情報通信融合研究センター研究センター長  柳田 敏雄3.5