ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

633創る●データ利活用基盤分野3.6 先進的音声翻訳研究開発推進センターまた、(年間1,000万人から2,000万人を経て4,000万人を国の目標としているところの)外国人旅行者の急増に伴う外国人患者(旅行者の2 %が日本の病院で治療を受けている)への適切な医療を妨げる言葉の壁を無くすことは、社会的価値の創出に十分に貢献するものである。・ 請求項を含む特許文(図3 )をはじめとするテキストの自動翻訳システムを開発し、4 社に技術移転し、各社からのオンプレミスやAPIのサービス提供が実現した。請求項に固有な文構造を原言語から目的言語に変換するための人手ルールを用いることで、極めて大きな精度向上を実現した。未解決の重要な課題の解決に時流に乗らない「ルールに基づく手法」の有効性をアカデミアに再評価させた貢献は、科学的意義が十分に大きなものである。請求項を含む特許文の自動翻訳は、製品輸出に関わる知的財産権侵害の防止に直結するため、社会課題・政策課題の解決及び社会的価値の創出に十分に貢献するものである。また、各社からのオンプレミスやAPIのサービス提供が実現したという社会実装につながったことは、顕著な成果である。2 .2020年以降の世界を見据えた自動翻訳技術(1)音声翻訳の漸次化(前処理方式)の実装を各所で動的展示することによってニュース放送の通訳といった究極の応用を広く理解いただくべくアウトリーチ活動を実施し、入力の途中で翻訳する同時通訳(図4 )の課題を抽出し、次年度の研究計画に反映した。(2)対訳文ではないが同じ内容について記述した2 言語の文書(コンパラブルコーパスと呼ばれ、対訳コーパスに比べ豊富で入手が容易な言語資源)からトピック解析法を拡張応用して対訳語を抽出する技術を提案し、Web上の多言語百科事典であるWikipediaで評価実験と改良を実施した。対訳コーパスの不足問題を根本的に解決する手法の研究であり、科学的意義が大きい。3 . 委託研究No.180「自治体向け音声翻訳システムに関する研究開発」(1)外国人対応の多い自治体窓口のニーズを検討し、自治体で必要とされる対訳コーパスや音声データを収集し実証実験を行いながら、自治体窓口向け音声翻訳システムの社会実装を目指す委託研究である。(2)ブラジルポルトガル語の音声コーパス145時間分を収集した。自治体窓口業務に関する日英対訳コーパス8 万文を作成した。音声及び対訳コーパスは、高精度な音声翻訳システムを開発するための重要な基盤のひとつとなる。(3)自治体窓口業務用の音声翻訳サーバー及びクライアントアプリケーションを試作し、前橋市及び板橋区の協力を得て模擬実験を行った。システム開発の過程で得た知見を反映した商用の観光向け音声翻訳アプリ「TabiTra」が、委託先である凸版印刷より3 月31日に公開された。自治体窓口用音声翻訳システムの実用化に向けて着実に開発を進めるとともに、委託先にて商用アプリを公開したことは、グローバルコミュニケーション計画が目標とする研究開発成果の社会実装に貢献する顕著な成果である。【原文】 A rotary cutter comprising:a handle;an arm extending from an end of the handle;a circular blade coupled to the arm;and a crust cutter member extending from the end of thehandle,wherein an edge of the crust cutter member is sharpenedand the crust cutter member extends in a plane that issubstantially parallel to a centerline of the handle.【自動翻訳】 ハンドルと;ハンドルの端部から延びるアームと;前記アームに連結された円形のブレードと;前記ハンドルの端部から延びる外殻切断部材と;を備え、外殻部材の縁部が先鋭化され、外皮部材は、ハンドルの中心線に実質的に平行な平面に延在していることを特徴とする、ロータリカッタ。図3 特許請求項の翻訳例特許請求項は文長が長く非常に翻訳が困難であるが、NICTの技術は世界で初めてこの高精度翻訳を実現した。図4 同時通訳のデモ画面上部の英単語は音声認識した単語を逐次表示し、下部の英語(赤字)はシステムが判断した適切な翻訳単位であり、日本語(黄色の背景)はその翻訳結果を表示している。このように英語から日本語へ日本語に五月雨式に通訳するデモシステムを構築した。