ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

64■概要本開発室では、先進的音声翻訳研究開発推進センターの研究成果である音声認識、音声合成、言語翻訳などの技術を利用した各種統合システムを開発して広く世間に周知することにより、研究成果の成果展開と社会還元を進めている。具体的には、多言語音声翻訳システム、聴障者と健聴者とのコミュニケーション支援アプリ等を開発するとともに、それぞれの共通プラットフォーム化を図ることによりスムーズな成果展開に寄与している。■平成28年度の成果●多言語音声翻訳アプリVoiceTraの機能拡張1 .定型文機能よく使う文を事前に登録しておくことにより、相手に伝えたいことをリストから選ぶだけで翻訳できる機能を追加した。あらかじめ対訳を登録しておくことで正しい訳文を相手に示すことができるが、対訳が登録されていない場合は翻訳を実行して相手に示すことができる。また、こちらからの質問に対する相手の応答選択肢も登録することができ、相手はそれを指で選択するだけで応答することができる。図1 から3 に主な画面を示す。この機能は音声認識が困難な騒音下(例えば、搬送中の救急車の中)でも利用できること、相手が音声で応答することができない状況(例えば、呼吸困難状態)でも利用できること、あらかじめ正しい対訳を準備することにより誤訳が出ない(人命に関わる内容でも使える)ことから、全国の消防署の救急隊で活用されている。対訳の登録にWebサーバーが必要であるため現時点で個人利用は想定していないが、今後は救急隊以外の組織でも活用されることが期待される。2 .OCR翻訳機能の試作行き先案内板やレストランメニューなどの日本語が母国語に翻訳できると海外からの旅行者にとっては大変便利である。NICT開発のレストランメニュー用翻訳エンジンとパナソニック ソリューションテクノロジー株式会社製のOCR(光学文字認識)エンジンを組み合わせたレストランメニュー用のOCR翻訳機能を試作した。以下の手順で実行する。まず、スマートフォンでレストランメニューを撮影するとOCRエンジンを用いて文字認識を行う(図4 )。次に翻訳したい商品名を指でなぞって指定すると日本語の文字認識結果とその翻訳結果が表示さ統合システム開発室室長  葦苅 豊3.6.3音声コミュニケーションシステムの開発と研究成果の社会還元図1 定型文一覧画面図2 定型文確認画面図3 相手に提示する画面