ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

793拓く●フロンティア研究分野3.8 未来ICT研究所ジウム等の著名学会での発表を通じ、共同研究先である東京工業大学と報道発表を行い、日経産業新聞、日刊工業新聞に掲載され、web記事多数で紹介された。また、慶應義塾大学との共同による独特な300 GHz漏れ波アンテナのレーダ応用研究に関する研究開発では、レーダ動作の基礎実験・機能実証の成果が、テラヘルツ分野の著名な国際会議であるIRMMW-THzにおいてBest PosterAwardを受賞するなど、研究分野のみならず、社会展開の点からも国内外からの非常に高い評価を得た。超高周波領域での通信・計測システムに適用可能な高安定光源の研究開発に関しては、集積化に適した狭線幅高安定コム光源の光コム生成で重要となる非常に高いQ値を持つ共振器の実現のため、低損失導波路を実現する微細加工技術を開発し、共鳴波長で10 dB以上の消光比を達成した。3 .バイオICT基盤技術QOL(Quality of Life)の向上につながる、生体の感覚に則したセンシングの実現に向け、分子・細胞等の生体材料が持つ優れた特性を活かした、様々な情報を抽出・利用するための基礎技術の研究開発を進めている。平成28年度は、生体材料を用いた情報検出部システムを構築する技術として、自然界に存在する生体分子素子ダイニンのコアに、本来持つ生体機能とは無関係なタンパク質の機能モジュールを融合、複合的に新しい機能を持つ分子素子を創製することに成功し、今後の所望の機能を持つ任意の生体素子設計と構築につながる成果を得た(図3 )。本成果はNature Nanotech.誌(Furuta, A. etal. Creating biomolecular motors based on dynein andactin-binding proteins. Nature Nanotech. 12, pp. 233-237(2017).)に掲載された。また、生物の持つ優れた情報抽出・利用機能に関して、生体内情報を選別する役割を担う機能分子の知見として、細胞の情報選別に関わる核膜孔複合体の構成因子を網羅的に同定した。生物情報処理システムの検討と解析手法の設計に関しては、応用展開が進むバクテリアセンサの研究において、センサ出力の特徴パラメータの組合せから、有効なパラメータをデータ駆動的に選定することに成功した。その他、分子素子間相互作用によるネットワーク構築と、その数理モデル化の成功、細胞内分子ネットワークの解析手法として、色収差補正法を開発するなど、学術面での成果のみならず、社会応用展開につながる成果を得た。図2  高集積化可能な圧電振動子を利用できるPLL(Phase Locked Loop)発振回路7.940 8.865 9.790Frequency [GHz]Output power [dBm]?120?100?80?60?40-59dBc -60dBc915MHz(20MHz/div)FrontBackSAWResonator2 13 5 46 781st PLL7 LPF 8 O t t B ff4: VCO, 5, Dividers, 6: PFD&CP1: DCO, 2: MMDIV, 3: Digital2nd PLLVias connected to the acoustic resonator100um図3  タンパク質分子モジュール(ダイニン)への新規機能モジュールの融合