ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

873拓く●フロンティア研究分野3.9 先端ICTデバイスラボなどに係る環境保全にも最大限に配慮した運営を行っている。このようなラボの体制をきちんと整備することにより、NICT内部・外部含めた多くの研究者、利用者が光・高周波融合デバイスや革新的デバイス、新材料技術等の研究開発に専念することができる環境を提供している。これにより産学官の協調的かつ有機的なコラボレーションとともに革新的な技術の創出の場として機能することが期待される。NICTの研究開発はIT技術のすべての領域にわたり、その中で、先端ICTデバイスラボは高度な情報通信システムへの展開を重視したデバイス基盤技術の研究を推進することを特徴としている。平成28年度の先端ICTデバイスラボのNICT内利用者数はおよそ1,300人であり、さらに外部利用者数は歴代利用者数を上回り延べ1,479人を数えるに至っている。外部利用者の中にはインターンシップによるASEANの外国人利用者も含まれ、先端ICTデバイスラボを拠点とし革新的デバイス研究に関するグローバルなコラボレーションが図られている。また、先端ICTデバイスラボから創出された研究成果では、論文等の誌上発表:59件、国際・国内会議発表:181件(平成28年4 月から12月末までの計数)と非常に多数でかつ材料物性からデバイス基礎、システム応用と多岐にわたる研究成果の発表により、学術貢献がなされた。安全・安心を第一とした管理・運用を推進しつつ、更なる効率化により利便性を向上させ、利用機会や研究成果の増加はもちろんのこと、利用者間の交流による新たな知識、新たな価値の創造を目指す。2 .神戸クリーンルーム棟の稼働・運用神戸クリーンルーム棟はデバイス技術の研究開発を推進するための新たな施設として平成27年7 月に竣工し、平成28年4 月から本格的に運用され、小金井拠点のクリーンルーム施設との一体運用を行っている(写真2 )。クリーンルーム施設の総床面積は1,600 m2以上あり、クラス1000の成膜室とナノ加工室、化学調整室及びクラス100の露光室等で構成されている。神戸クリーンルーム棟はNICT本部と異なり、有機ナノ材料や超伝導材料など革新的な材料開発や物性科学を基礎とし、これらをナノレベルの精密な加工技術と組み合わせることによって機能的なICTデバイスへと昇華させ、将来、次世代の情報通信ネットワーク等に利活用することを目指している。神戸クリーンルーム棟には超伝導材料や有機ナノ材料のための薄膜製造装置や微細デバイス加工プロセス装置、さらに、材料物性やデバイス特性評価のために必要な様々な装置が設置されている。具体的には多層構造のデバイス作製が可能なロードロック式真空成膜装置や原子層レベルで膜厚を制御することができる原子層堆積装置、加えて最小線幅が数10 nmの描画ができる電子線描画装置とナノレベルでエッチングが可能な反応性イオンエッチング装置や高周波誘導結合プラズマエッチング装置を運用している。神戸クリーンルーム棟のNICT内部・外部の利用者総数は1,728名を数え、活発かつ有効な装置・施設利用がなされている。本施設は先端ICTデバイスラボの小金井拠点とともに、NICT中長期計画の多くの研究課題を支える拠点として機能しており、これらの研究施設を最大限に活用することで情報通信技術のブレークスルーを産み出すことを目指している。写真1  (a)Class100のイエロールーム、(b)高品質結晶を作製するための分子線エピタキシー装置写真2 神戸クリーンルーム棟外観