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重ね合わせ状態に関するNICTの研究成果がOptics and Photonics News誌において 2010年の光学分野における主要成果に選定

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2010年12月14日
Optics and Photonics News
Optics and Photonics News 誌12月号の表紙。 今年の光学分野の主要成果"Optics in 2010" に"量子情報の離散量と連続量を繋ぐ"という 表題で取り上げられました。

光の重ね合わせ状態に関する量子ICTグループの研究成果が、Optics and Photonics News誌の12月号において、今年の光学分野における主要成果“Optics in 2010”の一つに選ばれ、さらに雑誌の表紙を飾りました(右図)。Optics and Photonics News誌は光技術分野の最新情報を伝えるサーキュレーションの高い主要誌の一つ。

従来のデジタル情報は0か 1のどちらかの状態しかとることができませんが、量子情報技術では0と1だけでなく“0でもあり同時に1でもある”重ね合わせ状態もとることができます。この新しいデジタル信号は量子ビットと呼ばれ、従来不可能だった超並列計算を可能にします。

これまで光の量子ビットには、光子の偏光が利用されていましたが、光ファイバ伝送に適した信号形態ではないため応用用途が限られていました。今回の成果は、光ファイバ伝送で使われる光波信号で量子ビットを構成することに世界で初めて成功したもの。フォトニックネットワークのノードに量子ICTを導入する際の重要な基盤技術となります。量子ビット自体は損失に弱く長距離伝送が難しいが、光ネットワークのノード内において局発光として利用することで従来のシャノン限界を超える通信が可能になります。多数の量子ビットをノードで用意し、光波信号と干渉させながら情報を復号する量子デコーダを開発できれば究極の容量限界であるホレボー限界が実現できます。

表紙の図は、量子ビットの表現法であるポアンカレ球。従来の偏光量子ビットは、2次元の離散系であるためポアンカレ球上の位置ですべての性質が表現できるのに対し、光波量子ビットは連続値を取る無限次元系であるため、さらに各点には連続量の波動関数(カラーのとんがり帽子のような分布関数)が付随しています。論文自体は、物理学分野の伝統ある雑誌Physical Review Letters誌に発表されました。