本文へ
文字サイズ:小文字サイズ:標準文字サイズ:大
  • English Top

東北地方太平洋沖地震後、高度300km上空に現れた波紋状の波

  • 印刷

2011年3月11日05時46分 UT(日本時間14時46分)に発生したM9.0の東北地方太平洋沖地震の後、数分〜数時間にかけて、大気波動(音波、大気重力波)が高度300km付近まで到達したことを示す現象が電離圏の内部で観測されました。 動画は、国土地理院のGPS受信機網(GEONET)データを利用して算出された電離圏全電子数(TEC)の変動を表しています。 TECは単位面積を持つ鉛直の仮想的な柱状領域内の電子の総数です。ここでは、10分以下の短周期変動のみを示しています。色はTEC変動の振幅を示しており、赤は定常レベルから+0.2、黒は−0.4TEC Unit (TECU = 10^16個/m^2)です。 地震発生(05:46 UT)の数分後から、震央付近から波が同心円状に拡がっていたことがわかりました。 この同心円状の波の中心(以下「電離圏震央」)は、震央から約170km南東にずれており、海底津波計等で推定された津波の最初の隆起ポイントとほぼ一致していました。同心円状の波は、時間と共に伝搬速度が遅いものが現れており、西日本では3時間以上観測されていました。 観測結果から、巨大地震は、地中の波(地震波)、海洋の波(津波)だけではなく、大気の波(音波、大気重力波)を起こし、その大気の波が電離圏まで到達したと考えられます。このような地震後の電離圏内の波を、高い分解能かつ広範囲に、現象の起こり始めから伝播過程までの全体像を詳細に捉えたのは今回が初めてです。 今回の観測は、高度な衛星測位や衛星・地上間通信等に影響を与える電離圏の変動に、下層大気がどのように関わっているかを明らかにする研究の一端であるとともに、宇宙からの津波監視といった実利用にも応用できる可能性を示しています。

関連動画(電磁波センシング・可視化技術)