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国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のMain Commission委員に電磁環境研究室 渡辺 聡一 研究マネージャーが就任

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2012年5月9日

NICT電磁波計測研究所 電磁環境研究室の渡辺 聡一 研究マネージャーが、国際非電離放射線防護委員会(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection; ICNIRP*1)のMain Commission委員に就任しました。

この委員就任は、ICNIRP設立以降、アジアからは3人目、日本人としては2人目の快挙であり、NICTの生体EMCに関する研究成果が国際的にも高く評価されたものと考えられます。

ICNIRPのMain Commission委員に就任した渡辺 聡一 研究マネージャー

ICNIRPのMain Commission委員に就任した
渡辺 聡一 研究マネージャー

ICNIRPは、非電離放射線に関する国際防護ガイドラインを策定するために設立された非営利独立の科学組織です。ICNIRPが策定する、電磁界、光(赤外線~紫外線)、超音波のガイドラインは、我が国やEUをはじめ世界各国の規制・勧告に採用されています*2

ICNIRPのMain Commissionは、医学、生物、物理、工学等の分野の専門家から構成され、議長・副議長を含め定員は14名です。昨年(2011年)11月、3名の委員退任に伴う選挙が行われ、現行のMain Commission委員の投票によって、渡辺研究マネージャーが新委員として選出されました。1992年のICNIRP設立以降、アジアからは3人目、日本人としては、首都大学東京 多氣 昌生 教授(1996-2008年)に次いで、2人目の委員就任となります。任期は2012年5月から4年間で、最長3期(12年間)まで延長されます。

ICNIRP Main Commission委員は、非営利中立の組織に所属する専門家であること、かつ、出身国や所属組織の利益を代弁することなく、純粋に科学的見地から非電離放射線防護についての作業に携わることが求められます。そのため、ICNIRP Main Commission委員を輩出している組織に対しては、国際的にも高い関心と敬意が払われます。つまり、今回の渡辺研究マネージャーの委員就任は、NICTにおける生体EMCに関する研究成果が国際的にも高く評価されたものと考えられます。

今後、ICNIRPでは、様々な通信・放送システムで用いられている高周波電磁界(100kHz-300GHz)のガイドラインの改訂作業が開始される予定です。改訂ガイドラインは、昨年(2011年)のWHO/IARC(国際がん研究機関)による電波の発がん性評価結果*3を考慮したものとなり、我が国をはじめ世界各国の電波防護規制に対して、大きな影響を与えるものと予想されます。また、このガイドラインの指針値等の重要事項すべての最終判断はMain Commissionが担うため、今回、渡辺研究マネージャーが就任したMain Commission委員の責任は重大であり、その活躍が期待されています。


*1: ICNIRPの運営資金等は、すべて中立組織(EUやWHO等)からの寄付や委託費から供給されており、法的にはドイツ政府に登録されたNPOである。また、ICNIRPの委員は、すべて非営利組織の専門家から構成されている。

*2: 我が国では、携帯電話等を対象とした局所SAR指針値(総務省令)にはICNIRPガイドラインが採用されており、本年施行された電力設備からの超低周波電磁界のばく露基準(経済産業省令)でもICNIRPガイドラインの値が採用されている。

*3: WHO/IARCは、2011年5月に、電波の発がん性について、「発がん性があるかもしれない(Possibly carcinogenic to humans; 2B)」と判定した。

本件に関する 問い合わせ先

広報部 報道担当

廣田 幸子
Tel: 042-327-6923 
Fax: 042-327-7587
E-mail: