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総務省通信総合研究所は2001年4月1日をもって独立行政法人通信総合研究所(CRL)としてスタートを切りました。独立行政法人化における皆様のご支援に対し感謝申し上げる次第です。以下では、独立行政法人CRLの概要を紹介させていただき、スタートにあたっての挨拶とさせていただきます。
まず、独立行政法人CRLの概要を申し上げますと,独立行政法人通信総合研究所法(個別法)で決められた所掌は表1のようになっており、発足時に主務省(CRLの場合は総務省)から中期目標が与えられました。これに対して中期計画を立て、総務省に申請して認可されたわけですが、その概要を中期目標と中期計画の対応表として表2に示します。平成13年度の予算規模は運営費交付金を含めた総予算が約261億円となっており、昨年度から約11%増加したものとなっております。
それでは、新生CRLでは何が変わるのかを一言で申し上げますと、「組織%運営の弾力性%透明性が増し、研究活動に一層活気が出て、従って成果の向上が期待できる。」ということになります。
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理事長 飯田 尚志 |
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▲表1 CRLの所掌(独立行政法人通信総合研究所法より抜粋) |
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▲表2 中期目標及び中期計画の概要(対応表) |
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組織の弾力性とは、今までと違い、組織の長の裁量によりその構造を決定できることです。そこで組織の構造を図1のように致しました。すなわち、理事長、理事3名、監事2名で構成されるトップマネジメント、研究を実施する研究部門、所全体の戦略の立案や総務を担当する企画部、総務部、運営の助言をいただく外部有識者からなるアドバイザリ・ボードで構成されております。評価をいただく外部評価委員会は従来のとおりの独立した体制とします。研究部門はできるだけ大括りかつフラットな構造にすることを目指して、今までの6研究部、4研究センター体制から4研究部門に統合し、それらに研究グループが直属する形を基本と致しました。また、適宜特別研究グループやプロジェクトグループを作る体制に致しました。この組織の中で、トップマネジメントの構造は個別法で決まっていますが、その他は当所自ら決定したもので、今後も研究環境の変化に迅速に対応していくことができると期待しています。 |
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▲図1 フラットかつ柔軟な研究組織 |
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運営の弾力性については、約7割の予算がその費途が限定されない運営費交付金であるため、弾力的に有効に活用できるようになります。研究活動の活性化として期待できることの1つに、独立行政法人CRLでは、研究委託、受託、非常勤職員の雇用の拡大を通じて、外部との共同研究がしやすくなると期待しており、これをオープンプラットフォームと呼んでおります。これにより産学官の連携を一層押し進めたいと考えているわけです。そのための予算的裏付けが、費途に制約のない運営費交付金と、委託経費をそれにプラスして使える柔軟性にあると考えています。 |
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組織・運営の透明性に関しては、独立行政法人CRLの設計段階から、組織が透明になるような仕組みを検討してきました。具体例として、評価にはMBO(目標管理制度)を導入することとしましたが、個人業績評価に際しできるだけ透明性を持たせるように、少なくとも1次評価は評価者と被評価者がディスカッションして評価を行なうとしています。また、その内容もできるだけ透明となるように評価項目を明確にし、数値で評価できるものはできるだけ数値評価を導入するように工夫しています。ただ、「数」の評価だけでなく「質」の評価も重視し、また、目標管理というとポイントが取れるものに片寄りがちになり、チャレンジ精神を阻害すると思われますので、このような弊害に陥らないようにするとともに、必要に応じて適時改善していきたいと思います。失敗を恐れずチャレンジすることを是非見守っていただきたいと思います。さらに、上位職位の者が下位職位の者を評価するだけでなく、常に評価者の評価も行うために、下位職位の者が上位職位の者を評価するシステムを導入していきたいと思います。こうすることにより、研究の進め方としては、ただ与えられた中期目標を淡々とこなしていく組織では研究の活性が急激に落ち込むことになりかねませんので、研究の継続性、専門性を特徴とする中核的(ドメイン)プログラムと呼ぶ研究と、時限的に特定の成果を求める戦略的(ダイナミック)プロジェクトと呼ぶ研究を設定しています。運営費交付金を使う際には理事長ファンドとして2割程度を当て、それをダイナミックプロジェクトに配分するとともに、萌芽的研究を推奨する意味からチャレンジ研究とインセンティブ研究の枠を確保しています。前者はやや大きなプロジェクトに、後者は研究者個人が自由に出来る少額の経費を与えることにしています。
研究は何といっても「人」でありますので、職員が溌剌としてのびのびと仕事ができる環境を作ることが大切であると思います。また、トップマネジメントはそのように活動できる環境を作っていくのが責務と考えています。そうすることにより、今まで国立研究所としての足かせ故に羽ばたけなかった活動が一気に堰を切ることになるのではないかと期待しております。例えば、世界の研究者とのネットワークが一層緊密になり世界的な活動の活発化が期待できると思います。これが、研究活動の活性化に拍車をかけ、単に成果が多くなるというのみならず、質的な飛躍も期待できるのではないかと思います。
このように新生CRLに期待を膨らませ、独立行政法人の模範となれるよう活動していく所存でございますので、今後とも皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願い致します。 |
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