TWAA96国際技術ワークショップ開催


関東支所 宇宙電波応用研究室長
高橋 幸雄



1. はじめに

 1996年12月10日から13日に、CRL主催の国際技術ワークショップを鹿島宇宙通信センターで開催した。茨城県鹿嶋市という一地方都市で開催のため多くの苦労話もあり、これらの経験や教訓を交え、どのような会議が行われたかを紹介する。

所長の開会の挨拶


2. 会議の概要

 会議は、APT(Asia-Pacific telescope:アジア太平洋VLBI観測計画)とAPSG(Asia-Pacific Space Geodynamics Project:アジア太平洋宇宙測位計画)の初めての共同国際ワークショップとして開催された。APTとAPSGについて紹介する。APTは、VLBIを用いて、電波天文・測地観測をアジア・大平洋地域で精力的に実施していこうという目的のもとに集まった研究者の集合的組織である。1992年のシドニーをかわきりに毎年実施され、今回が5回目になる。1995年の第4回APT会議で、1996年以降技術ワークショップと本会議を交互に開催することになり、1996年に日本で技術ワークショップを開く事が決定された。一方、APSGは、1995年のIAG(国際測地学協会)決議No.5で承認された計画であり、VLBI・SLR・GSP等の宇宙測位技術等を用いて、アジア・太平洋地域での地球物理学に関する研究を行っていく計画である。APSG計画でのVLBI関連はAPTの測地関連とほぼ同じ目的を有し、相互に深い関係を持っている。また、SLR・GPS技術 とVLBIの相互比較や共同観測なども議論するということでAPTとAPSGの共同会議となった。

 今回話された内容を列挙すると、

  1. 各国・各機関・各観測網のVLBI、SLR、GPS等の現状報告

  2. 技術開発について
    ・アンテナ受信機、リアルタイムVLBI、スケジュール、VLBI観測装置、相関器、その他

  3. 総合討論

 この中で主な議題は、観測装置・相関器・ファイルの互換性の問題である。各装置の現状を認識して、そのうえでの問題点と対応について意見を交わした。天文台が開発したコピー装置への期待が大きかった。

 その他、CRLで開発しているKSP観測システム・リアルタイムVLBI装置、国土地理院のGPS観測網装置、宇宙研・天文台の宇宙VLBI計画・相関処理装置・コピー装置など日本の高い技術力を世界に大いにアピールすることができた。特に、装置デモを行った1GbpsVLBI装置装置は、KSPシステムとともにVLBI関係者の興味を引いた。総合討論では、活発な意見が交わされ、今後の協力関係が話された。
今回の論文の収録集は、現在のVLBI技術の最前線を網羅する技術資料としても重要である。


3. 参加状況

 外国からの参加者は、豪州7名、中国7名、韓国3名、インド4名、ロシア6名、米国6名、カナダ3名、独、オランダ各1名、合わせて38名で、予想以上に多くの外国研究者が集まった。世界のVLBI装置・機関を代表する人も多数参加した。正式な招待者は18名であり、自前による参加者も数多かった。日本からの参加者も含めると総勢100名を越す参加者となり、盛況な発表や情報交換が行われた。特に、これまで情報が少なかったインド・ロシア・韓国の参加者が多かったことや、世界9カ国からの参加となった事は今回の会議の特徴の一つである。我々CRLがVLBIや宇宙測地技術を通して如何に世界と協力関係を広げているかを示したものである。



国際色豊かな参加者の顔ぶれ


4. 苦労話いろいろ

 一言で言えば、この会議は我々スタッフ全員による手作りの会議であった。今回の会議の基本は、一人でも多くの人を呼ぶということである。多くの日本人の中に少しの外国招待者という集会ではなく、世界各国の研究者が多く集い情報交換をすることが国際会議の重要な意義と考えたからである。人が人を呼び大きな輪となった。

 今回アジア諸国から多くの研究者が来日し、そのVISA取得に苦労した。特に問題があるのがロシアである。部長クラス以上の人に対しても、詳細な履歴書や多くの書類を準備しなければならない。中には日本大使館に並んだものの、人数制限で受け付けられず、5日間も通ってようやくVISA取得した研究者もいた。国際化が叫ばれている一方で、アジア諸国からの研究者招聘に冷たい日本を痛感させられた。これらのVISA取得に関しては、国際研究交流室に大変お世話になった。

 次の難問は宿泊である。ワールドカップ誘致で指摘されたように鹿嶋市一帯は宿泊施設が少ない。運悪く12月の忘年会シーズンやサッカー関連の集会が重なり、100名程度が宿泊できるホテルの確保に苦労した。すぐに交渉し、早急に決断しなければならない。ホテルの宿泊の手配から、ホテルの滞在調査等も自分たちで実施した。また、レストランが少ないため昼休みの短い時間でいかに食事をするか、また朝の食事の手配なども考慮もしな ければならなかった。

 今回良かったことの一つにインターネットのホームページやメールを大いに活用したことである。世界の国際会議並みに、登録・情報連絡を効率的に行った。その有用性を改めて認識するとともに、今回は当研究室の小山主任研究官が対応したように、自由に使いこなせる人の必要性を強く感じた。また、企画運営委員会も、会議旅費の節約のため、全てメールで済ませることにした。

 飛行場と会場との連絡は、地方都市での開催で大きな問題の一つである。交通の便のよい東京等の大都市では、容易にホテルに自力で行ける。しかし、成田空港・鹿島間は交通の便が複雑である。そのため送迎を我々の手で実施したのだが、時間やターミナルが異なるため、周到な送迎計画と人海戦術が必要であった。また官用車によるシャトルバス運用という良案で乗り切ることができた。

 観光地の少ない鹿島で如何に会議以外の楽しみを設定するかも苦労の一つであった。茨城の英語の観光案内集めやホテル周辺の英語の地図作成等も、自分たちの手で実施した。また、測地と天文という分野が共存するため、国土地理院と天文台+CRLの2班での見学会を実施した。

 一方ゲストハウスは大助かりであった。自費で訪問する人も多く、ロシアやインドの研究者に利用してもらった。多国籍会議ということで、インドの研究者の菜食主義も頭を悩ませたが、ゲストハウスで自炊ということで対処できた。
この他、細かなトラブルも多数あったが、誠意を持っての対応を心がけた。その甲斐があってか、参加者全員から親切なもてなしありがとうの言葉をいただき、手作りの会議の良さを感じた。また、多くの知り合いができたことは、我々の大きな財産となった。

 最後に、参加者から、帰り便を各自の責任で遅くして欲しいという意見が多かった。他機関への訪問など、旅費の効率的な使用に繋がる。また、どうしてそんなに高い航空券を使用するのかという質問も多く、自分でもっと安い航空券を買ってもいいよという人もいた。航空券の現地購入も可能になるように、企画課から科学技術庁に掛け合ってもらったが、科学技術庁の事務処理問題を突破することができず、残念ながら今回は可能とならなかった。今後も引続き働きかけてもらいたい。それが、より人を集め国際化に繋がる事であろう。


謝  辞

 この会議は、鹿島宇宙通信センターの宇宙電波応用研究室・管理課、標準計測部の時空技術研究室・時空計測研究室・周波数標準課のスタッフ全員が一丸となって協力したことで成功できたものである。
また、科学技術庁と社団法人科学技術国際交流センターの支援のもと行われたものであり、これらの方々及び機関に深く感謝する。



「CRL周波数資源プロジェクト研究発表会」報告


電磁波技術部 総括主任研究官
井原 俊夫



 平成8年10月22日(火)、虎ノ門パストラル(港区虎ノ門)においてCRL周波数資源プロジェクト研究発表会が開催されました。近年の移動通信を中心とした無線通信の急速な発展とこれに伴う電波の需要の増大、周波数需要の逼迫を背景として、通信総合研究所では周波数資源開発のためのプロジェクトを平成5年より規模を拡大して実施してきています。それから3年余りを経過し、これまでの当所のプロジェクトの進捗状況と中間的成果を所外の関係者に広く紹介し忌憚のないご意見をいただき、今後のプロジェクトの推進に役立てることを目的に開催したものです。この ような趣旨から、参加の便のよい都心の会場を使うという、当所主催の研究発表会としては初めての試みを行いました。幸い、会場定員一杯の約300名という多数の参加を頂くことができました。

基調講演(池上文夫 拓殖大学工学部長)


講演会は、古濱洋治所長の開会の挨拶、田中征治 郵政省電気通信局電波部長の来賓のご挨拶に引き続き、拓殖大学工学部長の池上文夫先生より「高度情報社会における電波周波数の有効利用 〜CRLへの期待と提言〜」の演題で基調講演を頂いた後、当所の周波数資源プロジェクト担当者より、周波数資源開発の取り組みの概要、放送用周波数有効利用技術、インテリジェント電波有効利用技術、マイクロ波帯移動通信技術、ミリ波構内通信技術、ミリ波帯通信用デバイス技術、光領域周波数帯の研究開発の計7件の報告を行い、最後に箱石千代彦次長の閉会の挨拶で幕を閉じるまでまる一日、満員の会場で盛況のうちに開催されました。また講演会と併せてプロジェクトの成果である最新の実験用機器の展示を行い、好評を博することができました。

機器展示風景


参加者からのアンケート回答結果では、当所の周波数資源プロジェクトを評価するとのご意見や、今後の一層の推進に期待するとの声や、定期的な発表会の開催(例えば毎年など)を希望するとの要望が寄せられています。一方、1件当たりの発表時間が短く概説的で駆け足的な傾向が感じられる、もっとじっくり聞きたいとの指摘や、会場定員の都合で希望者全員の参加を受け入れることができなかったことへの対処の要望など、次回への宿題とすべきご意見も頂いています。ともあれ、周波数資源開発に対する社会的関心の高まりを周波数資源プロジェクト関係者一同が強く実感した一日でした。




第8回電気通信フロンティア研究

国際フォーラム開催される


企画部 企画課
山崎 博通



 去る11月21日、22日両日に神戸国際会議場において第8回電気通信フロンティア研究国際フォーラムが開催された。電気通信フロンティア研究は、将来の電気通信技術分野に新たなブレークスルーをもたらす可能性のある基礎的、先端的な研究を推進する目的で昭和63年度に開始され、高機能ネットワーク技術、超高速通信技術、バイオ・知的通信技術の3分野を軸にして関西支所(関西先端研究センター)を研究拠点に活発に研究活動を行っており、現時点で9つの研究課題を実施している。また、郵政省本省、(財)テレコム先端技術研究支援センターと協力して毎年国際フォーラムや国際ワークショップを開催している。

一般講演(2日目)

全講演のうち6件が海外からの参加であった


 平成元年に始まり第8回目を迎える今回の国際フォーラムは「生命と情報」という大テーマのうち細胞の中の情報機構に焦点を当てて、海外からの招待講演を含めた熱気あふれる講演計11件が2日間にわたって行われた。これに先立ち関西支所からは管理課、生物系の職員、アルバイトを総動員して準備、運営の応援にあたり、気が抜けない各坦務をこなしていた。初日は、甕(もたい)技術総括審議官、熊谷科学技術会議議員によるオープニングセッションに引き続き3件の特別講演が行われた。ガンの一因ともいわれる染色体の不安 定性、細胞核における機能発現や細胞運動の形成過程など細胞内における種々の情報形態や情報処理に関する最先端の成果が次々と披露された。国際フォーラムのため英語によるプレゼンテーション(初日は同時通訳つき)である上にかなり基礎研究的、専門的な内容であったにも拘わらず200名ほどの来場者があり、そのほとんどが最後の講演まで聞き入り質疑も活発に行われていた。また、ポスターセッションも設けられて研究者同士のより立ち入った議論が行われていた。初日の特別講演終了後、古濱所長の英語による乾杯の音頭でレセプションが開始されたが、会場がポスターセッションの場を兼ねているためお腹が落ち着く頃にはビールの入ったコップを片手に持ったままポスターの前で議論が始まる熱心さで、食べ物がなくなり司会が終了を告げてもなおにぎやかな雰囲気がつづいているほどの盛況ぶりであった。

レセプションでの歓談


会場となった神戸国際会議場は昨年大地震で壊滅的な被害を受けた三ノ宮からポートライナーで10分程度のポートアイランドに位置している。神戸とその周辺の人々の復興にはまだまだ時間がかかりそうであるが、神戸の人々のこの程度ではへこたれないというたくましさを肌で感じてきた。復活しつつある街並みを眺めながらおみやげの神戸のケーキと須磨海苔を片手に帰路に向かったのだった。




Yジャンクションの謎

−光導波路で干渉系を構成する−


電磁波技術部 総括主任研究官
井筒 雅之



 光導波路を用いた干渉系が、光変調デバイスを中心に広く用いられている。導波路型の、光の強度を変調する、云わゆるマッハツェンダ型(MZ型)の光強度変調器は、商品化されて既に10年以上になり、実用の光通信システムにも導入され始めている。

 図1は、MZ型光変調器の基本構成図である。駆動用の電気信号を伝えるための電気回路(変調用電極と、入出力接続部)と、光信号が通過する光回路(光導波路)が組み合わされている。電気回路の構成法にもいろいろな工夫が加えられているが、本文では、特に光回路に着目する。


図1 MZ型光変調器

図2 導波型(a)およびバルク型(B) MZ干渉系


 図2は、MZ型光変調器の光回路構成(導波型MZ干渉系と呼ぶ)と、通常の反射鏡を組み合わせた(バルク型)MZ干渉系の比較である。導波型では、入力光は、まず入力側のYジャンクションで二つに分波され、二つの光路を通過した後、出力側のYジャンクションで合波干渉して、出力端に到達する。

 この動作説明で疑問に思う点は、「出力側Yジャンクションで、本当に干渉作用が得られるか」、と云う点である。バルク型では、出力はちゃんと二つあって、両方を足し会わせれば1になり、互いに相補的(コンプリメンタリ)な関係を保っている。導波型には、出力が一つしかない。そもそも、3ポートのジャンクションで、整合が得られるのか。一見したところ、導波型MZ干渉系の動作には、不可解な点があるように感じられる。

 この様な疑問は、今から20年近く前、導波型光変調器の研究があちこちで行われ始めた頃、研究会の会場などで、時に応じて、交わされていたが、筆者は、この疑問に、当時始 めて明快な説明を行った。図3に、ここで考える導波路Yジャンクションの構造を示す。光導波路は、屈折率の高い部分にそって光が導かれる原理を用いているので、マイクロ波における同軸や導波管のように、電磁波を導波路中に完全に閉じこめるのではなく、周りにもしみ出した状態で導波する。開放型の導波路である。屈折率の高い部分(コア)をある程度小さくすると、一つのモード(基本モード)だけが伝搬される、単一モード導波路となる。

 Yジャンクションは、2本の単一モード導波路を小さな角度で交わらせて、1本の単一モード導波路にまとめるものである。詳細に見ると、Yジャンクションは、図示のように、ブランチ(分枝)導波路部、テーパ導波路部、ステム導波路部、の3つの部分に分けて考えることが出来る。

 2本の単一モード光導波路が近くに並んでいる場合、導波光は互いに結合するので、新たに2種のモード、偶モードと奇モード、を考えると便利である。2本の導波路の間隔が近づき、ついには境界が接して、2倍幅の1本の導波路になるとすると、偶モードは次第に2倍幅導波路の基本モードに変化する。一方、奇モードは高次モード(この場合は1次モード)に変化する。

 光波はさらにテーパ導波路部に進行するが、導波路幅は次第に狭くなり、ついには、ステム導波路につながって行く。ステム導波路は単一モード導波路なので、テーパの途中で、奇モードから変化した1次モードを導波できなくなる。テーパ導波路幅が一定の値以下になると、奇モードはカットオフとなって、放射モードに変化し、導波路外部に放射される。

 この様に、Yジャンクションは3本の導波路から構成されているが、実際には出力専用の第4のポートが、放射モードとして隠れている。実は4ポートの素子であり、干渉用の合波器として立派に動作することが分かった。

 実際に光導波路Yジャンクションを構成する上で重要な点は、分枝が互いに近づいて行く間に、偶モードと奇モードとの間でモード変換が起こらない様に、角度を十分小さく設定することである。モード変換が起こってしまうと、完全な干渉が期待できない。多くの場合、分岐角は1度とか0.5度とかの値が選ばれている。5μm幅の光導波路を0.5度の角度で2つに分け、2本の導波路の間隔が30μmになるまで広げるとすると、約3mmの長さが必要となる。光導波路は微細なので、それほど印象に残らないが、これを、幅1cmの導波管が、先と同じ割合で6cmの間隔になるまで、0.5度の角度で分岐したとすれば、6mもの長さが必要となる。

 光集積回路では、この様に、緩やかな導波路の変形によって、導波光を変化させる手法が重要となるが、回路を実現する際にやたら長くなる点は、開放型の導波系を使用する宿命とも云える。

図3:(a) Yジャンクションの構造
(b) (c)はその動作

図4:非対称Xジャンクションの構造(a)とその基本動作
同相入力の場合(b)、および逆相入力の場合(c)

 Yジャンクションでは、4つめのポートが放射モードとして存在するが、入出力ポートとしては、実際上甚だ使用が難しい。筆者は、このポートを導波モードとして利用するための新しいコンポーネントも、Yジャンクションの動作説明と相前後して提案し、その後デバイスなどに活用している。図4は、非対称Xジャンクションである。左側(対称側)は、Yジャンクション同様、等しい2本の単一モード導波路からなるが、右側(非対称側)は幅の異なる2本の単一モード導波路から出来ている。動作原 理は省略するが、このようにすると、Yジャンクションにおける放射モードを、非対称側の、幅の狭い導波路を伝搬するモードとすることが出来る。

 非対称Xジャンクションの導入によって、光集積回路においても、導波モードだけからなる、4ポートのハイブリッドが利用できることとなった。これを用いれば、図5のように、マイケルソン干渉系も、光集積構造で実現できる。


図5 導波型(a)およびバルク型(b)

マイケルソン干渉型


 光集積回路では、今一つハイブリッドの構成法がある。それは、方向性結合器(図6参照)の原理を利用するものである。2本の光導波路を平行に近接すると、先に述べたように、導波光の結合が生じる。導波路の間隔や、導波路間の屈折率によって結合の強さが決まり、さらに結合長を与えると、両導波路間でどの様な光電力のやり取りが生じるかが定まる。従って、平行光導波路の間隔や長さを適当な値に調整すると、一方からの入力光を等分したり、2入力の干渉光を出力するハイブリッドが得られる。

 方向性結合器型ハイブリッドは、結合度と結合長をきっちりと決めなければならないので、光波の波長や偏波に敏感である。一方、Xジャンクション型ハイブリッドは、導波路の形状によって動作が定まっているので、偏波特性をなくすことが出来、波長帯域幅も広く取れる。


図6 方向性結合器

(a)および非対称xジャンクション型 (b)ハイブリッド1,2,3,4はポート番号
(a)は90ハイブリッド、(b)は180ハイブリッドとして動作する。


 2つの形式のハイブリッドの、もっと基本的な違いは、Xジャンクション型は180度ハイブリッドに、方向性結合型は90度ハイブリッドに対応している点である。紙面の都合上、説明は宿題としますので、動作の違いを考えて見て頂きたい。




無線通信研究100年記念出版のご案内


編 集:郵政省電気通信総合研究所
書籍出版推進委員会
発 行:株式会社 オーム社 出版局



高度情報通信社会を支える先端テクノロジーの定番を提供!

<巻 構 成> 全7巻構成(ウェーブサミット講座) 刊行計画・ 衛星通信  (編著者:飯 田 尚 志) 1997年・2月発行・ VLBI技術  (編著者:高 橋 富士信) 1997年・春発行予定・ 宇宙環境科学  (編著者:恩 藤 忠 典) 1997年・秋発行予定・ 新ミリ波技術  (編著者:手代木 扶・米山 務) 1998年・春発行予定・ ディジタル放送 (編著者:塩 見 正・羽鳥光俊) 1998年・春発行予定・ 移動通信  (編著者:笹 岡 秀 一) 1998年・春発行予定・ 地球環境計測  (編著者:岡 本 謙 一) 1998年・秋発行予定<判型・頁数> A5判・300〜450頁程度<編集委員会>    編集委員長:手代木   扶 (総合研究官)    事務局長 :内 田 国 昭 (標準計測部長)    編集委員 :飯 田 尚 志 (企画部長) 岡 本 謙 一 (地球環境計測部長)          塩 見 正 (総合通信部長)          笹 岡 秀 一 (通信科学部長)          高 橋 富士信 (関東支所長)          恩 藤 忠 典 (前第一特別研究室長)

[発刊の目的と内容]

 最近の通信技術の発展は目覚ましく,衛星通信に代表されるように、われわれの身の回りのあらゆる分野で活用されています。電波応用工学を基礎とし、通信技術をシステムとしてとらえるとき、その学問の深さと応用技術の多様化は、研究や技術開発に携わる技術者の養成を困難なものとしています。

 郵政省通信総合研究所は、情報通信に関する唯一の国立研究機関として、情報・通信・電波の各分野にわたって幅広い研究を行い、通信新時代をリードしています。この100年に及ぶ研究成果は、国民共有の財産であり、21世紀に向かって高度情報通信社会を支える基礎技術を集大成し、必要不可欠な知識として世に送ることを出版の主旨とします。
そこで、本シリーズは通信技術を学ぼうとする理工科系大学院の学生、各企業および研究機関の情報通信系研究者・開発技術者を主たる対象に、先端技術指導書の出版を計画したものです。

[問合せ先]
郵政省電気通信総合研究所 株式会社オーム社出版局  企画部技術管理課 出版2部長 今井雄司、稲森康治 加 藤 敬 幸 TEL0423-27-7475   TEL03-3233-0641 FAX0423-27-7603   FAX03-3293-2824

[ウェーブサミット講座の特色]

[具体的な読者]

[ウェーブサミット講座  全7巻構成]



《 CRL音楽祭 '96》

−マルチメディアも活用−


標準計測部 時空計測研究室
雨谷 純



 所内のアマチュア音楽家のサークル、音楽連絡会では音楽祭を年1回開催しています。今年は、11月27日に本所大会議室にてCRL音楽祭’96を開催し、8組12人が邦楽、クラシック、ポピュラー等それぞれの得意分野の生演奏を披露しました。



演奏会のトリを飾った、ラテンアンサンブル


 また、今回の音楽祭に先立って、遠く離れた場所にいる演奏者がマルチメディアを介して合奏するバーチャルセッションにも挑戦しました。これはサークル初の試みでしたが、11月22日に本所講堂及び鹿島宇宙通信センターCB庁舎に2組13人の演奏者が集まり、ハイビジョンで映し出される相手の映像・音に合わせて演奏を行ないました。バーチャルセッションの様子は、音楽祭当日に会場でスクリーンに上映されました。

 このバーチャルセッションは、総合通信部のマルチメディア実験(ATMネットワークを利用した高速通信)の一環として行われ、伝送遅延などの技術的課題の抽出に参考とされるほか、収録画像は評価実験にも使用されます。

 来年は、本所及び鹿島宇宙通信センターにマルチメディア施設が完成するため、より本格的な、完全二元中継のバーチャル音楽祭が開催できるものと、サークルでも期待しています。

マルチメディア通信を利用し鹿島と合奏する小金井の演奏者




外部誌上発表


IEICE Transactions on Electronics (1996年9月)
Weakly Coupled Grain Model for the Residual Surface Resistance of YBa2Cu3Ox Thin Films
吉田 啓二、尾上 智浩、木須 隆暢、島影  尚、王   鎮
Japanese Journal of Applied Physics (1996年9月)
Hole Mobility in Ge:Ga Far-Infrared Photoconductive Semiconductors at Low Temperatures
廣本 宣久、藤原 幹生
Journal of Neurophysilogy (1996年9月)
Activation of Human Presupplementary Motor Area in Learning of Swquential Procedures:A Functional MRI Study
彦坂 興秀、坂井 克之、宮内  哲、多喜乃亮介、佐々木由香、Benno Puetz
Review of Scientific Instruments (American Institute of Physics) (1996年9月)
Optical fiber coupled multitelescope lidar system: Application for a Rayleigh lidar
石井 昌憲、柴田  隆、水谷 耕平、板部 敏和
The Institute of Electronics Information and Communication Engineers Transactions on Electronics (1996年9月)
Ouasi-Optical SIS Mixers with Nb/AlOx/Nb Tunnel Junctions in the 270 GHz Band
鵜澤 佳徳、川上  彰、王   鎮、野口  卓
月刊・海洋 (1996年9月)
航空機搭載リモートセンサによる観測
熊谷  博、石津美津雄、浦塚 清峰、増子 治信
情報通信ジャーナル (1996年9月)
高齢者・障害者にやさしい情報端末を
猪木 誠二
電子情報通信学会・論文誌 (1996年9月)
ETS-VI搭載ミリ波通信実験機器性能評価実験速報
岡沢 治夫、高橋  卓、門脇 直人、井家上哲史、近藤 秀敏
電子情報通信学会英文誌C (1996年9月)
Josephson Array Oscillators using Resonant Effects in Shunted Tunnel Junctions
川上  彰、王   鎮
日本航空宇宙学会誌 (技術ノート) (1996年9月)
楕円軌道の簡易な解法
川瀬成一郎
大阪大学大学院工学研究科・博士論文公聴会 (1996年9月)
日本語修辞表現の工学的解析に関する研究
滝澤  修
Japanese Journal of Applied Physics (1996年9月)
Enhanced Sub-picosecond Electromagnetic Radiation from YBCO Thin-film Bow-tie Antennas Excited with Femtoseconds Laser Pulses
谷  正彦、斗内 政吉、王   鎮、阪井 清美、萩行 正憲、友澤 靖嗣、村上 吉繁電気学会誌 (1996年9月)
GPS の利用について
今江 理人
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics、Communications and Computer Sciences : Special Section on Information Theory and Its Applications (1996年9月)
Channel Coding with MPSK / Orthogonal Multi-Carrier Transmission
黄   巍、中川 正雄
IEEE Trans. Antennas & Propagation (1996年9月)
A Cylindrical Fresnel Zone Antenna
Yu Ji、藤田 正晴
KAWARA-VAN近畿 (1996年10月)
レーザーで操る原子・イオン
渡邊 昌良
「SCAT LINE」 テレコム先端技術研究支援センター・広報誌 (1996年10月)
短波長コヒーレント光源と原子・イオンへの応用
渡邊 昌良
Distributed Autonomous Robotic Systems 2 (1996年10月)
Adaptability of a Decentralized Kinematic Control Algorithm to Reactive motion under Microgravity
木村 真一、奥山 利幸
ELECTRONICS and COMMUNICATIONS in JAPAN (published by Scripta Technica Inc.) (1996年10月)
Characteristics of Orthogonal Slow-frequency Hopping/16 Quadrature Amplitude Modulation System with an Interference Immunity Decoding Method
浜口  清、笹岡 秀一
IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques (1996年10月)
Characteristics of the SAR distributions in a head exposed to electromagnetic fields radiated by a hand-held portable radio
渡辺 聡一、多氣 昌生、野島 俊夫、藤原  修
Journal of Geophysical Research (1996年10月)
Field-aligned currents associated with Alfven waves in the poleward boundary region of the nightside auroral oval
長妻  努、福西  浩、早川  基、向井 利典、松岡 彩子
Journal of Robotics and Mechatronics (1996年10月)
Processor Performance Required for Decentralized Kinematic Control Algorithm of Module-Type Hyper-Redundant Manipulator
木村 真一、奥山 利幸
Journal of Space Communications (1996年10月)
N-Starを用いたHDTV伝送実験
吉村 直子、高橋  卓、吉川  真、門脇 直人、井家上哲史
National Optics Institute Report INO 96-7701-UM-A (1996年10月)
Unsupervised multispectral image classification using Markov Random Fields models
山崎 達也、Denis Gingra
O Plus E (1996年10月)
遠赤外分光技術とその応用阪井 清美
Physical Review A (1996年10月)
Optimum desision scheme with a unitary control process for binary quantum-state signals
佐々木雅英、広田  修
Solar Physics (1996年10月)
SEPARATION OF PERIODIC CHAOTIC AND RANDOM COMPONENTS IN SOLAR ACTIVITY
亘  慎一