平 磯 支 所
はじめに
短波用鉛直偏波対数周期アンテナ
週間電波じょう乱予報は向こう一週間の通信状態とデ
リンジャー現象(現在ではShort Wave Fadeout,SWF
と呼ばれることが多い)発生の可能性を予報するもので、
通信状態は1から5までの指数で、SWFの発生の可能性
は*印で表現している。現在国外の四カ所を含む、六十数
ヵ所の特定利用機関に葉書で週二回(火・金)送付してい
るが、またこの内容は一週間全般についての通信状態概
況とともに日本短波放送でも放送されている。
このように広範な領域の通信状態をN、U、Wや5、
4、3、2、1のような一つの符号で表わす方式は、電
波警報業務の発足当時がら採用されてきたものである。
その理由として、太陽爆発(フレア)に伴って起こる
SWF(デリンジャー現象)と磁気あらしに伴って起こる
電離層じょう乱によるものが電波警報で警告すべき短波
通信障害の主要なものと考えられ、これらの現象は概し
て広い範囲でほぼ同時に起こることが考えられる。しか
し実際には一つの磁気あらしが電波の伝搬条件に与える
影響に地域差があることは、電界強度の実測記録上にも
しばしば認められるし、また熟練した電波警報の利用者
の間では、JJYにのった警報がNからUに変更される
と、その直後しばらくの間、ある方面への通信状態がか
えって良くなることが指摘されている。この事は警報発
令方式の一つの改善の方向を示唆するものであろう。
過去における電波警報適中率の向上への努力は、太陽
フレアと磁気あらしの予知、電離層じょう乱の特性の解
明という太陽地球間物理学の研究に向けられてきた。こ
の方面における平磯支所の特筆すべき貢献は、200MHz
で開始された太陽電波観測による磁気あらしの予報と、
極冠吸収現象の発見であろう。太陽電波の観測は昭和27
年頃に始められ、VHF帯の電波強度の異常増加を伴う
ような太陽フレアは磁気あらしの良好な前駆現象である
ことを発見し、これを電波警報に応用して当時国際的に
名をあげたことは、当時の平磯支所関係者の自慢のたね
である。また極冠吸収現象とは太陽フレアで放出された
高速の陽子が、地球磁場によって方向づけられ極地方に
降りそそぎ、D領域の電子密度を異常に高め電波の強い
吸収を起こす現象であり、IGY(国際地球観測年、
1957〜58年)に整備された世界の電離層観測網を使って発
見されたものである。この現象は磁気あらしに先行して
起こるため、磁気あらしの予報に有効であるとともに、
通信障害の発生が地域的にちがってくることをはっきり
と示す一つの好例であろう。
太陽地球間物理学の応用の立場からフレアを含む太陽
活動と磁気あらしの予測、警告を国際的に実施している
のが世界日警報業務である。このための組織は国際電波
科学連合(URSI)の勧告により1930年頃フランスを
中心に始められたいわゆるウルシグラムによる太陽面現
象、地球物理現象の資料の国際的な交換活動と、IGY
に際して米国を中心に組織された異常現象の発生を世界
に伝達する世界日通報業務が結合してできたもので、国
際ウルシグラムと世界日サービス(IUWDS)と呼ば
れている。日本では電波研究所が西太平洋地域警報セン
タに指定されており、米国にある世界警報本部とソ連、
フランス、西ドイツ、オーストラリアにある地域警報セ
ンタとの間で符号化された観測資料の交換及び世界日警
報決定のためのアドバイスの通報を行っている。ウルシ
グラムで入手されるデータは太陽フレアの予測に有効で、
週間電波じょう乱予報にあるSWFの予報に利用される
他に、特に興味をひきそうな異常現象が予想される際に
国内の各電波観測所に対して発する電離層特別観測通報
を出すための重要な情報源になっている。
以上紹介してきたように、電波警報業務の実施には、
ぼう大な観測資料を常時しかも即時的に処理することが
要求される。この要求を満たす目的で昭和47年に小型電
子計算機が導入され、同時に警報業務の自動化が計画さ
れた。平磯で観測された資料を処理し、ウルシグラムを
解読し、電波の通信状態を判定し、最終的に警報内容を
決定してこれを公衆電話回線を通して自動的に発信する
という一連の業務を托されたこの電子計算機システムは
RADWIS(電波警報発令用自動情報処理装置)と名
づけられ、昭和49年より運用を開始した(写真)。しか
し一般に計算機システムの完成には数度の改編が必要で
あるように、RADWISも現在その欠陥がいくつか指
摘されており、この手直しを進めつつ試験的な運用を続
けている段階である。特に警報決定の手法は、太陽地球
間物理学の進歩に応じて改善されるべき性質をもつため、
プログラムの変更を容易に可能にするシステムをつくる
必要があること、またこのシステムは1年365日、1日24
時間の連続運転を前提としている点に設計上の困難があ
るといえるだろう。
電波警報発令用自動情報処理装置(RADWIS)
将来の計画と展望
電波警報の向上には現実の通信状態の監視を強化する
方向と、太陽地球間物理学を発展させその成果を応用し
て、主として太陽観測に基いて短期の予測を行う方向の
二つが、過去においてもとられたし今後もとられなけれ
ばならない。次に現在超高層研究室を中心に進めている
警報業務改善のための計画を紹介しよう。
ISS観測資料の活用と斜伝搬実験の計画 すでに述
べたように現在の電波警報発令方式には早急な改善を迫
られている点がいくつかある。これを一
言にしていえば警報の詳細化ということ
になろうが、その一つは警報の内容を地
域別にすることである。このためには過
去の観測記録の解析を急がねばならない
し、通信状態の監視態勢を更に強化する
ことも検討する必要がある。しかし地域
別の警報実施には、再度の打上げが予定
されている電離層観測衛星(ISS)予
備機のデータの即時的入手が有効な警報
判定の手段を与えるものと期待される。
衛星観測に不可避的に付随するデータ上
の制約はあるにしても、緯度、経度によ
る電離層変化の差異が知られるからであ
る。警報詳細化のもう一つの重要な点は、
警報内容に通信可能周波数帯の情報を含
めるようにすることであろう。
現在の警報では通信状態を電界強度で規定しているが、
短波通信従事者にとって第一に知りたい情報は通信可能
周波数帯の変化であろう。この要求を満たすために超高
層研究室ではサウンダによる周波数掃引の斜伝搬実験を
実施し、MUF、LUFを常時監視し、警報内容に組入
れていくことを計画している。この計画には電離層観測
用の鉛直打上げ電波を斜めより傍受するものと、外国と
の間でバリーサウンダ(周波数連続掃引電離層観測機)
によって送受信を行うものとの二つがあり、前者はすで
に電波予報研究室と共同で実験が進められている。
太陽監視の強化 太陽地球間物理学のこの二十年間の
進歩はめざましく、太陽フレアに続くSID(SWF等
の電離層突然じょう乱)、極冠じょう乱、磁気あらしの
根本の原因は、夫々フレアに伴って放出されるX線、高速
の陽子及び電子の流れ、高温高圧のプラズマ流これに伴
う惑星間空間磁場の変動等に確実に見出されることを明
らかにした。また最近太陽フレアと無関係に起こる27日
回帰性の地磁気じょう乱が、太陽面上のコロナの孔と呼
ばれる特殊な磁場構造領域から吹き出す高速のプラズマ
流に起因することも確認された。これらの諸量はすべて
惑星間空間の人工衛星で常時測定可能な物理量であり、
将来にはその完全な監視態勢のもとに電離層じょう乱を
予測する可能性もある。残念ながら現在ではこれらの変
動に応答する磁気圏の内部過程に不明な点が多く残され
ており、現在進行中のIMS(国際磁気圏観測計画、
1976〜78年)の成果が期待されるところである。本年3月
米国が打上げたSOLRAD11A、B二つの衛星は地球
半径の20倍の円軌道上を互いに180度離れて回り、常時
太陽現象とその磁気圏への影響を観測している。この衛
星のテレメトリ受信がIMS幹事会から世界に呼びかけ
られたのを機会に、平磯支所ではその実施を鹿島支所と
協力して検討している。また名古屋大学空電研究所の電
波望遠鏡による波長8pの太陽写真は、コロナの孔を正
確にとらえている。これを毎日ファックスによって入手
し、回帰性地磁気じょう乱の予報、太陽活動領域の監視
に利用する計画も進行している。
VLF警報 現在の電波警報システムは短波通信を対
象につくられたものだが、その手法は直接的な電波伝搬
条件の監視と、太陽面現象、地磁気じょう乱等により電
離層じょう乱を予測することの二つにある。従ってこの
手法は電離層を媒体とするHFからVLFにいたる電波
伝搬についての警報に直接応用できるものである。この
うち特にVLF電波は電波航法にも利用され、じょう乱
警報への期待は大きいものがあると思われる。VLF警
報は犬吠電波観測所で計画されたものであるが、平磯支
所はこれに協力して、その実施にあたって必要な事柄を
検討している。
おわりに
地震発生の予知が古く占い師の活躍する時代から人類
の最も関心をひく問題の一つであったように、無線通信
の障害予知は、通信が文明社会に欠くことができないも
のになった時から一つの大きなテーマである。勿論太古
の人々が地震の危険の少い所を経験的に知って移り住む
ことができたように、障害を受けにくい通信方式を開発
していくことは可能であり、その努力は常に報われてき
たように思われる。しかし電波供給の有限性を考えると
き障害から逃げ続けることが不可能なことは明らかであ
る。幸い通信障害は大地震とは比べるべくもなく、その
被害は壊滅的ではなく、正確な警告によって他の通信手
段に頼るなど、通信可能な状態を保持することができる。
電離層伝搬による電波通信の障害の根本の原因である太
陽爆発の予知は、リモートセンシングによる監視以外の
方法がないなど地震予知以上に困難な面をもっている。
しかしフレア発生後、平穏な通信状態が回復するまでに
何が起こり、どの程度の影響がどの位継続するかを予測
するという問題は今後ますます解明されていくだろう。
これは通信状態の現況把握と短期の予報を基礎とする電
波警報業務の内容がますます改善されていく可能性を示
している。しかし電波警報は太陽地球問環境という大き
な領域を対称としているため、その改善には多くの投資
を必要とする。従って警報の経済的効果と投資を比較し
て、この業務の適性規模を算定する努力が必要になるこ
とも予想される。この規模は学問の発達に応じて変化す
るものと思われるが、その算定に必要な資料をつくるこ
とも警報業務従事者が心がけねばならない点であろう。
(超高層研究室長 丸橋 克英)
飯 田 尚 志(鹿島支所)
昭和50年度科学技術庁宇宙開発関係在外研究員として 昭和50年8月29日から1年間カナダのCRC (Communications Research Centre)に滞在する機会を得た。 CRCではCTS(Communications Technology Satellite) を利用した実験の一つである軌道摂動測定実験に参加し た。その日程は9月〜10月の研究題目の調査期間、10月 〜4月の研究期問、及び5月〜8月の纏めの期間に分け られると思う。この間、生活の方も慣れる為に苦労した 期間、多少慣れてきた期間、及び帰国の為の準備期間と 変化したと思うが、気候は寒く厳しかったので、全体と しては緊張して過ごした1年間であった。
カナダの通信省の構成とCRC
CRCでは研究をする部門に於いて、研究室という単
位は無く、DGの下にDirectorが居て、その下に
ResearcherのSupervisorとTechnicianのSupervisorが居る。
ResearcherのSupervisorの下には数人のResearcher
(科学者と工学者の2種がある)が居て、だいたい1人が
1〜数テーマの研究を行なっていた。また、Technician
のSupervisorの下には数人のTechnicianが居て、機器等
の製作及び実験を精力的に担当していた。
研究の評価について、Research Scientistの例を示す
と次のようである。これは約2年前から実施されている
ものであり、評価そのものよりむしろ、機関としての仕
事のベクトルと個人の興味のベクトルをなるべく一致さ
せる様に、ResearcherとSupervisorがよく打合せする
ことを目的としているものである。評価の方法は、まず
7項目(1.個人的な研究開発の達成、2.研究の指導性、
3.研究計画での指導性と協調性、4.研究者としての権威,
5.専門的なコンサルタント性、6.技術の交流、7.その他)
について過去1年間どのようであったか、
Research ScientistはSupervisorとよく打合せをして所定の形式
の報告書を作成する。年間の仕事の目標及び量は予め
Supervisorと打合せして決めておき、それがどの位達成
されたかも記入する。Supervisorはこれにより、5段階
の評点を付ける。次にこの結果はDircctorに行き、次に
は各Directorateで評点を比較して調整する。このように
して出た評点に対して、もし本人が不満ならば、一つ上
の段階、例えばDG或いは特別な委員会に異議を申し立
てることができる。評点結果のPerformance Increase Matrix
により、通常の給与の上昇の他に8%〜0%のボ
ーナスが付く。もし、評点が最低点であるならば、6ヶ
月後に再度評価し、それでも駄目ならば、その仕事は適
さないとして、もっと他の適切な仕事を与えるようにす
る。評価には皆が最高点を望むのではなく、中位のとこ
ろで満足しているようであった。
CIRCの計算機はゼロックス社のシグマ-9で、プロ
グラムは会話形式で作成でき、非常に使い易いものであ
った。端末のタイプライタを自分のオフィスに備えてい
る人も多いようで、常時40〜45人が使っていたようだ。
使用できる時間は原則として24時間、週7日間で、保守
は朝5時〜8時ということが多かった。また、CTSの
打上げ前は週の中1日はCTS専用となることもあった
が、打上げ後は週1回夜間のみとなった。端末のタイプ
ライタは電話線より接続できるので、自宅でも計算機を
使うことができる。このように自宅へ仕事を持って行く
人も少なくないようであった。
勤務時間としては午前8時30分〜午後4時30分の時間
帯をとっている人が多い。Researcherの場合、年間1950
時間働けばよいので、ペンキ塗りや芝刈り等で、自宅の
仕事をするときには、午前7時頃出勤して午後3時頃帰
る人も居た。秘書は午前8時〜午後4時が勤務時間であ
った。通勤には車を使用する人の他に公用バスを使う人
がかなり居て、午前8時30分CRC着、午後4時30分
CRC発で運行されていた。従って、このバスを利用して
いる人は4時30分にはぴったり仕事を終了するわけであ
る。
Security ClearanceについてはCRC内の人もあまり
多くは語りたがらない様であった。日本人の場合、本人、
家族及び本人の両親、兄弟の学歴、最近10年間の職歴、
住所歴等を書いた書類を提出すると、Security Clearance
が成立した場合にはバッジ(red badge)をくれる。成立
迄には、カナダ人でさえも2〜3ヶ月かかるそうで、私
の場合には2ヶ月半かかった。成立する迄は、毎朝正門
の守衛所から内部の者(実際には秘書嬢がやってくれた)
を呼び出し、white badgeを付けて入る。CRC内では
どこに行くにも付添人付で大変不便であった。特にCRC
は以前軍の研究所だったことと、今でも同一敷地内に
Defence Research Establishment,Ottawaがあるため
Security Clearanceは厳しく要求される。今後、このよ
うな場所に行く場合には事前に手続を完了して行く必要
があると思われる。
CTSは1976年1月17日に打上げられた。本衛星は上
り回線14GHz帯、下り回線12GHz帯の通信衛星であるが、
12GHz帯は200W出力のTWT(進行波管)を有する放
送衛星でもある。本衛星の制御の主目標は、制限された
質量で大容量の電源を得ることにある。その為、柔軟構
造の大きな太陽電池板を羽根の様に展開する3軸姿勢制
御衛星である。CTSのように衛星本体に比べて大きな
柔軟構造を持つ衛星の姿勢制御にはいろいろな困難が生
ずる。特に地上試験では無重力状態での柔軟太陽電池板
の振動試験はできないので、理論モデルを使って無重力
状態を推定し、制御の安定性が検討された。しかし、振
動のモードは多いので、全てを検討するのは困難である
ようであった。太陽電池板の振動で衛星が振り回わされ
てしまい、制御は旨く行かないのではないかと心配する
人も居た。しかし、打上げの結果は姿勢制御については
全て成功したとのことである。
カナダの衛星開発を見ると、大規模なNASAを最大
限に利用して、比較的小規模な施設であるにも拘らず、
衛星に関しては大きな成果を上げているように思われる。
オタワは世界で最も寒い首都の一つだと言われる。話
はいろいろ聞いていたが、やはり非常に寒かった。8月
末にオタワに到着したとき、日中の最高気温が14℃位で、
非常に寒く感じた。内陸の為に寒暖の差は激しく、前日
と20℃位違うことも珍しくなかった。通常は約6ヶ月間、
雪が在る様であるが、初雪は例年より1ヶ月も遅く、11
月14日であった。最後に降って積もったのが5月7日で
あった。最低気温は1月23日の-35℃であった。この日
の前後2週間位は-25℃以下の日が珍しくなかった。尚、
最高気温は6月下旬〜7月初旬の+34℃であった。
英語ではやはり苦労をした。カナダの英語は米国語と
英国語の中間位の比較的きれいな発音が多かった様に思
われたが、聴き取りについては、人によって、分かり易
い人とそうでない人が居た。私と一対一で話す時には
まだよいのであるが、コーヒーを飲み乍ら、皆が話して
いる事を聴き取り、話題に入って行くことは特に難しい
ことだと感じられた。これは語学力の無いことが一番問
題ではあるが、その上に、西欧世界と日本の生活基盤の
違いによるものの様に感じられた。私はCRC内のある
コーヒー・クラブに属して、毎日、午前10時と午後3時
に30分間ずつ、クラブの人々の会話を聞いたが、英語及
び人々の物の考え方に慣れるために大変参考になったと
思う。
カナダでは、英語と仏語のBilingual(二ヵ国語)政策
がとられているが、日本人には理解できない様な言葉の
対立が相当ある模様である。
私はオタワの西端のCRCより4マイル程東にあるア
パートに家具無しの2ベッド・ルームを借りた。ここは
1万世帯位の団地で、団地内に大きなショッピング・セ
ンタ、幼稚園、小学校が二つ、その他テニス・コート、
プール等があった。家賃は暖房費、光熱費、駐車料込み
で月267ドルであった。これらのアパートは1年以上の契
約(1年未満のときには、ペンキの塗り替え、清掃費用を
別に請求される)であり、契約時に、最初と最後の月の
家賃を支払う。残りの家賃支払は毎月1日に有効な銀行
の小切手を予め家主に送っておくことによる。もし、契
約期間中にアパートを出るときには、代りの人を探して
又貸し(sublet)する。しかし、これはかなり不安定な制
度の様に思われた。
CRCでは、ときどき、検知器の誤りか、または本当
の火事か不明であるが、火災報知器が鳴った。これが鳴
ったら、窓を締め、部屋の電灯を消して、全員が屋外に
出た。このときには、CRCにどんな人が居るかを見る
良い機会ではあったが、冬は-20℃以下の屋外に十数分
間出ているのは苦痛であった。アパートでもときどきこ
のような事があり、夜中に慌てて服を着て外に出たこと
もあった。冬は非常に乾燥することもあって、火災には
相当神経を使っている様だ。
全般を振り返って、この一年間のCRC滞在は実りあ
るものであった。在外研究員として派遣される機会を与
えて下さったことに感謝すると共に、お世話になった関
係各位に感謝の意を表したい。
高周波利用設備から放射する妨害波強度の
調査実験に参加
当所通信機器部通信方式研究室は、11月8日より13日
にわたり利根川上流の渡良瀬遊水池内の河川敷において
実施された高周波利用設備から放射する妨害波強度の測
定実験に参加した。この調査は、電波技術審議会第3部
会第1小委員会の作業班が、本年度の郵政大臣諮問第4
号に対する答申の資料を得るために行ったものである。
第51回研究発表会
11月11日、当所講堂において第51回研究発表会が開催
されて、雨天にもかかわらず外部から92名の来聴者を迎
え、午前2件、午後4件の発表が行われた。特に午前の部
の衛星通信によるミリ波伝搬実験についての報告では活
発な討論が行われた。
南極越冬隊員出発
昭和51年11月25日、第18次南極地域観測のため当所よ
り電離層定常観測部門に、西山 昇(企画部第二課)、
と超高層観測部門に、坂本 純一(電波部予報研究室)
の両名が観測船「ふじ」で出港した。昭和52年1月上旬
に昭和基地へ到着して1年間の越冬観測を行う。