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において、分散されたデータストレージ間の通信に量子暗号を用いることで、システム全体で情報理論的安全性の保証された、超長期セキュアデータセンターネットワークの実現が可能になる。こうした研究開発を進めるには、現代セキュリティ技術を専門とする研究者との密な連携が欠かせない。また、量子暗号やその派生技術を衛星光通信・ドローンとの通信等の空間通信に組み込むためにも、それぞれ要求されるニーズ・仕様を適切に満たし意味のある社会実装を実現するため、各分野のエキスパートと連携し研究開発を進めている。また、量子ノード技術に関しては、まだ基礎研究の段階であるが、コヒーレント光通信、シリコンフォトニクス、周波数標準等、他の最先端ICT技術も取り込みながら、ICT技術の将来を支えるべくNICTにしかない独自技術を研ぎ澄ましている。本特集号では、それぞれの技術課題について、NICTにおける研究開発を中心とした現状を紹介する。武岡正裕 (たけおか まさひろ)未来ICT研究所量子ICT先端開発センターセンター長博士(工学)量子光学、量子情報理論仙場浩一 (せんば こういち)未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室上席研究員博士(工学)超伝導量子物理佐々木雅英 (ささき まさひで)未来ICT研究所主管研究員理学博士量子通信、量子暗号量⼦ICT技術と現代ICT技術の融合+現代セキュリティ技術・秘密分散ストレージ・秘匿計算・署名、認証・・・物理レイヤ暗号、物理乱数生成、OTP暗号化・・・=超長期セキュアデータセンターNWゲノムデータ、国家機密等の世紀単位安全性保証+量子ICTとNICTの持つ様々なICT技術を融合し、新たなセキュリティ技術を開拓光空間通信技術・衛星光通信技術・ドローン等無人航空機・・・=秘匿ドローン通信光量子衛星通信基盤技術量子ノード技術・量子光源・検出器・量子計測標準・量子インターフェース(超伝導量子回路)東京QKDネットワークコヒーレント光通信シリコンフォトニクス周波数標準技術etc.可搬型光周波数基準量子暗号高速化セキュア移動体通信ネットワーク量子センシング+光空間通信テストベッド量子鍵配送(QKD)無条件安全性を実現QKDの派生技術⇒盗聴能力を合理的に限定することで適用範囲を空間通信に拡大量子暗号関連技術⇒どんな計算機でも破れない⇒あらゆる盗聴攻撃を検知図3 量子情報通信技術の社会展開に向けて8   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 1 (2017)2 量子情報通信技術研究開発の概要

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