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ダを付ける。ここで32 Mbitごとに32 bitの鍵同期信号を挿入する(この信号にも同様に識別用IDヘッダを付す)。これらをペイロードとして、トランスポート層以下でパケット化する。なお、パケットは、Ethernetフレームフォーマットに準じたMACフレーム*3とし、無線で伝送する際にEthernetコンバータにおいて、MACヘッダを外したうえでIEEE 802.11に準じたカプセル化を行う。無線通信時のパケット損失等によるデータ欠損は、このカプセル化の際に付された32 bitのFCS(Frame Check Sequence)で検知される。上記鍵同期信号で真性乱数列の同期ずれを随時補正することにより、データ伝送効率の低下を最小限に抑えながら正確にOPT暗号化を行い、次々に新しいカメラ映像を低遅延で送り続けるようにした。また、データ欠損が検知された場合には、データの再送要求をしないでそのパケットの復号は行わずに次のパケットの復号に移ることとし、被写体の動きを見逃すことなく、監視カメラからのデータを受信し続けることを可能とした。屋外フィールド実験2017年2月22日(水)に愛知県豊田市郊外の屋外テストフィールドで行った実験は、ドローンによる上空からの監視業務を模擬し、不審者に扮した人(被写体)を追う撮影ドローンからの映像を、中継ドローンを介して地上局で受信するという状況で行った(図4)。実験は1回15分程度のものを数回実施した。撮影ドローンは、監視対象区域でありながら樹木などにより地上局から直接見ることができない位置まで飛行し、不審者を撮影した暗号化された動画データを50~100 m離れた中継ドローンに伝送する。中継ドローン5図4完全秘匿データ中継技術を実装したドローンによる監視業務模擬実験。地上局-中継ドローン-撮影ドローン、の位置関係。挿入図は地上局における受信動画。被写体を追走して移動撮影ドローンから逃走しつつ移動森林帯中継ドローン不審者(被写体)10m地上局における受信動画撮影ドローン車地上局国土地理院CCB20073-C4-58より抜粋、加工図3 データ欠損が生じる場合における動画データのワンタイムパッド暗号化手法の概要データ識別子動画データFCSデータ識別子鍵同期ビットデータ識別子動画データ・・・・・・データ欠損検知802.11ヘッダ・・・802.11ヘッダデータ伝送効率の劣化を最小限に抑えながら鍵同期動画データ暗号化データ暗号化データ・・・・・・暗号化データ暗号化データ・・・・・・暗号化データ・・・・・・暗号化データ動画データFCS動画データのパケットに暗号鍵を足し算して暗号化通信路特性に応じて、最適なパケット間隔で定期的(32 Mビット毎)に鍵同期信号を送信無線データ伝送に適したフレームフォーマットに構成2,048ビット2,048ビット2,048ビット8ビット32ビット8ビット暗号化データを含むペイロードMACヘッダ・・・暗号化データを含むペイロードMACヘッダ12,000ビットEthernetコンバータで、ヘッダとFCSを入れ替え、IEEE 802.11 フレーム化OSI階層モデル第5層以上有線(Ethernet)無線LAN(IEEE 802.11)第1層暗号化データを含むペイロード物理ヘッダ物理ヘッダFCS暗号化データを含むペイロード物理ヘッダFCS物理ヘッダ32ビット*3MAC(Media Access Control)フレームとは、Ethernetで送信先アドレスなどの制御情報を付加した小さな一群のデータのこと。Ethernetではフレーム単位でデータがやり取りされ、そのサイズは514~12,144 bitである。373-4 ドローンを用いた動画秘匿伝送

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