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3.2位相基準バースト信号による同期性能強化現行衛星放送の伝送方式(ISDB-S)では、雑音に対する性能強化のため位相基準バースト信号が採用されている。広帯域変復調器について、変調方式がπ/2シフトBPSKの位相基準バースト信号を適用した。位相基準バースト信号のフレーム構成を図8に示す。187シンボルのデータ長ごとに位相基準バースト信号を割当て、シンボル長“P”を1~16の範囲で割当て可能な仕様とした。3.3同期強化による伝送性能結果IF及びWINDS衛星折返しにおける位相基準バースト信号のシンボル長“P”対所要C/N(@1E-6)特性結果を図9に示す。変調方式は8PSKとし、LDPC内符号の符号化率は1/2、3/5、2/3とした。他の伝送パラメータは表3記載のとおりとし、ロールオフ率は0.1で固定した。図7記載のアップリンク地球局(アンテナ径4.8 m)で送受信とも行い、ダウンリンク後の信号にノイズを付加し、C/Nを設定した。その結果、符号化率1/2及び3/5ではシンボル長“P”の増加に伴い、所要C/Nの改善も見られるが、符号化率2/3では改善がほとんど見られなかった。IF及びWINDS衛星折返しにおける変調方式8PSK、符号化率1/2、3/4、9/10に対するC/N対BER特性を図10に示す。図9の結果より8PSK(1/2)のときのみP=16とし、他はすべてP=0に固定した。その結果、IFからWINDS衛星折返しにしたときの所要C/N劣化は0.3~0.4 dB程度となった。むすび12 GHz帯衛星放送と21 GHz帯衛星放送を想定し、それらの機能や性能を実衛星伝送路であるWINDS衛星を用いて検証を行った。12 GHz帯衛星放送におい4LTE(4K)変調方式VSAT(2K)変調方式VSAT(2K)の遅延時間0 sec1.0 sec2.0 sec3.0 sec4.0 sec16APSK(3/4)16APSK(3/4)OKOKOKNGNG16APSK(7/9)OKOKOKNGNG32APSK(4/5)OKOKOKNGNG16APSK(7/9)16APSK(3/4)OKOKOKNGNG16APSK(7/9)OKOKOKNGNG32APSK(4/5)OKOKOKNGNG32APSK(4/5)16APSK(3/4)OKOKOKNGNG16APSK(7/9)OKOKOKNGNG32APSK(4/5)OKOKOKNGNG表2 時間遅延をかけたときの同期性能図7 8K多チャンネル伝送実験の構成 (広帯域伝送)さっぽろテレビ塔(北海道札幌市)22.2chマイクロホンアレーと8Kカメラ地上90m展望台NICT鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市)IP伝送衛星伝送WINDS衛星NHK札幌放送局光伝送アップリンク28.05GHz© JAXA映像・音響符号化装置8Kストリーマーあらかじめ収録した8K(2番組)の再生8K(3番組)8K(1番組)生中継視聴会場NHK技研(東京都世田谷区)ダウンリンク18.25GHz3 超高速衛星通信技術110 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)
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