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それぞれの通信事業者ネットワークは、PC上でCBCやMOMを含むコアネットワーク機能を動作させた。CBEは、機能の動作に影響が無いことから仮想的にセルラー通信事業者のPC上で動作させた。それぞれの通銀事業者ネットワークでは、基地局が1台運用されている。それぞれの基地局には、 2.6 GHz帯のうち重複しない周波数帯を割り当てた。端末はノートPCとして上記周波数帯に対応した市販のLTEモジュールをUSBによりノートPCに接続した。基地局とLTEモジュールの間は、RFケーブルにより接続した。このプロトタイプ装置により、以下の手順で動作することを確認した。なお、セルラー通信事業者のセルを「マクロセル」、マイクロセル通信事業者のセルを「マイクロセル」と表記する。①端末がマクロセルに接続②マイクロセルが運用開始、運用情報がマクロセルから配信し端末が受信③端末がマイクロセルに接続この後、マイクロセルの運用を停止すると端末はマイクロセルから切断し、自動的にマクロセルに再接続する。以上の機能試験により、マイクロセル通信事業者の運用情報がCBSによりセルラー通信事業者から端末に通知でき、それを契機にして端末がマイクロセルに接続できることが確認できた。移動通信システムの国際ローミングにおける課題            移動通信システムに利用される周波数は、国の制度等により異なる。現状の移動通信システムでは、端末が可能性のある全ての周波数帯に対応しているため、国をまたいでも移動先の周波数で運用されている無線システムに接続し、ローミング利用が可能な場合が多い。しかし、5G時代にはミリ波帯を含め非常に広い周波数帯が利用の候補になり、さらに、超高速、低遅延、多数接続などの性能を満たすために異なる規格の無線システムが運用される可能性もある。この場合、端末が全ての無線システムにアクセスする機能を持つことは一般的とは言えなくなる。図6にローミングにおける移動通信システムの典型例を示した。X国の事業者Dに加入する利用者がY国に移動して通信する場合を考える。Y国には事業者A、B、Cが無線通信サービスを展開しているが、事業者Aはマクロセルのみ、事業者Bはマクロセルとマイクロセル、事業者Cはマクロセルとストリートセルを運用している。なお、ストリートセルとは、連続するマイクロセルを直線上に配置した一連のセルを指す。ここで、端末は事業者Aのマクロセル、事業者Bのマイクロセル、事業者Cのストリートセルにしか対応していないものとする。現在のローミング方式では、端末は事業者A、B、Cのうちいずれかの事業者にしか接続できず、同時に複数の事業者が展開するセルを利用することはできない。しかし、同時に利用するアプリケーションの要求次第では、マクロセルとストリートセルの両方に接続が必要な場面が発生する。これを解決するためには、以下の機能が必要となる。・複数の事業者へのローミング接続を同時に受け付けるコアネットワーク及び端末の機能・各事業者が運用するセルの周波数や無線アクセス技術などに基づき、最適な事業者やセルを選定する機能4図5 提案方式の動作評価を行うためのプロトタイプ開発マイクロセル通信事業者セルラー通信事業者端末基地局基地局市販のLTEモジュール(PCにUSB接続)8   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)2 地上通信技術の研究開発

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