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40msのいずれかの区間が80msの中に入るようにしており、80 ms中に入る真データと80 msをまたぐ偽データは交互に現れるがデータ処理の段階で識別している。図4はREVデータの計測タイミングの模式図を示す。なお、APAA側の位相設定タイミングとREVデータ計測タイミングはそれぞれGPS時計に同期しているため、計測タイミングのずれは生じない。4.2 REVデータの処理方法アンテナ素子の位相変化に対する受信電力のREVデータは、リアルタイム・スペクトラム・アナライザの設定で40 msの区間で1024個のデータを取得する。これらのデータには大気揺らぎを含んだ信号成分と雑音が含まれているため、1024個の電力平均を取ることにより大気ゆらぎの影響を軽減している。平均化処理したREVデータは真データと偽データの2組のデータセットが得られる。このうちの一方の偽データは、80 msの切れ目を挟んだデータであるため捨てる必要がある。判定方法としては、切れ目を挟んで取得したトランジェント波形は切れ目を挟まないトランジェント波形よりも同等もしくは小さくなるため、全体のトランジェント波形に着目し、小さいトランジェント波形の多いデータセットを偽のデータセットとして捨てる。図5はREVデータの平均化処理結果の例であり、トランジェント位相の振幅の大きい真データセットである。図6は同じくトランジェント位相の振幅の小さい偽データセットの例である。上記で選定した真データの各素子のデータの波形は大気のゆらぎなどでひずんでいるため、各素子のデータセットを余弦関数に最小二乗法を用いてフィッティングする。図7はフィッティング結果の一例を示す。フィッティングした余弦関数曲線から素子nの相対振幅を最大とする補正位相(Δ0) を求め、さらに受信レベルの最大値と最小値の差をr として と定義すると、給電素子の相対振幅と相対位相は以下の式で与えられる[1]。なお、すべての素子で補正位相をもとめて位相補正すると、REV観測地点でのアンテナ利得が最大になり、APAAのアンテナビームが観測地点を向いたことになる。 リアルタイム・スペクトラム・アナライザIF:3GHzNICT大型地球局開口径:4.8mφJAXA基準局WINDS APAA (非再生中継モード)周波数:28.05GHz連続波(CW)周波数:18.25GHz連続波(CW)GPSレシーバ基準信号:10MHz図3 REV信号測定系80ms80ms80msAPAAの位相設定タイミング40ms40ms40ms40ms40ms40ms衛星側の時刻はGPS時計に同期この区間のREVデータは80msの位相設定区間を跨いでしまうために正しく測定されない。REVデータ計測タイミングこの区間のREVデータは80msの位相設定区間を跨いでいないため正しく測定される。図4 REVデータ計測タイミング1173-7 APAA健全性確認実験報告
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