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力マップ)を示す。図中青色の部分は受信電力が低下していることを示しており、東西方向機体が向いているときに表れていることがわかる。これは衛星が南方向に位置しているため、機体が傾いた際に東西方向への機体が向いているときに地球局アンテナの仰角の変動が大きくなるためである。図11に8の字飛行を行ったときの方位角及び仰角の誤差の時間変動を示す。図より誤差は最大でも0.2°以下となっており、追尾精度の±0.5°以下を満足していることがわかる。図12に8の字飛行を行ったときの仰角と受信レベルの時間変動を示す仰角が追尾範囲を超える65°以上となるとき及び25°以下となる際に受信電力の低下が見られるが、追尾範囲内においては受信電力が安定していることがわかる。なお、図中受信電力において-52 dBmから-57dBmの間で値を表記していないのは、受信電力はリファレンスバースト信号の電力を読み取っているが、受信電力計測時のタイミングにより通信用信号の受信電力を計測してしまい、受信レベルが低く表示されてしまうのでその影響を除去しているためである。以上より、開発した航空機地球局の追尾特性は飛行実験において諸元を満足することを確認できたまた、8の字飛行をした際のドップラ周波数の変動を図13に示す。このときの最大ドップラ周波数は7.9kHzであった。時速720 kmで航空機が移動した際の最大ドップラ周波数の理論値は8.2 kHzとなる。理論値と測定値の誤差は約4%であり、ほぼ一致していると考えられる。この結果より、高速移動体のモデムの周波数追尾性能を設計する際に移動速度から導き出される最大ドップラ周波数を考慮することが有効であることを示した。なお、図中ドップラ周波数が-4,000 Hz付近で値を表示していないのは、IDUのローカルリークによって受信信号の検出ができないためである。(c)データ伝送航空機地球局からのUDP(User Datagram Protocol)及びTCP(Transmission Control Protocol)の2つの通信プロトコルのアップリンクスループット特性の測図9 MBA中部ビームのアンテナパターン図10 アンテナ追尾特性試験時の飛行パターン(8の字飛行)図11 8の字飛行時の角度誤差の時間変動図12 8の字飛行時の仰角及び受信電力の時間変動130   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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