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定をiperf [9]を用いて行った。測定はWINDSの再生中継方式の51 Mbpsモードを用いて安定した飛行状態のときに行った。UDPにより通信を行った際のスループット特性を図14に示す。図よりデータレート38 Mbpsで安定した通信が行われたことがわかる。TCPにより通信を行った際のスループット特性を図15に示す。図より安定した通信状態において31Mbpsの通信が行われたことがわかる。また、約500msを超える遅延時間の環境においても瞬時的な通信断が発生しても通信速度が回復することを確認できた。(d)大容量ファイル伝送大容量ファイル伝送実験として、航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR)にて取得した高解像度の画像データファイルを航空機地球局よりwebサーバ上にアップロードし、アップロードに要する時間を測定した。このとき送信したファイルの容量は192 MBであり、アップロードに掛かった時間は1分18秒であった。以上の結果より飛行時の航空機より約20 Mbpsの速度で通信を成功することができた。Pi-SARにおいて観測したデータを伝送データとして処理した後に地上へ送信できると同時に次の観測を行うことが可能となり、災害時において素早い状況判断、対応が可能となる。むすびKa帯衛星通信システムにおいて、開発した航空機地球局を航空機に搭載し飛行実験を行い、WINDSのMBA中部ビームにおけるアンテナパターン及び開発した航空機地球局アンテナの追尾特性の検証を行った。また、飛行時におけるデータ伝送特性及びファイル伝送特性の測定を行った。 測定の結果、MBAのアンテナパターンはWINDSの打ち上げ後に行われた初期チェックアウト時の測定値と非常によく一致することを確認できた。また、開発した航空機地球局のアンテナ追尾の精度は設計した諸元を満足するものであり、追尾範囲内において安定した通信を行えることを確認できた。データ伝送測定においては飛行時にUDPにおいて38 Mbps、TCPにおいて31 Mbpsの速度で通信が行えることを確認できた。さらに、ファイル伝送実験では上空において20Mbpsの速度で大容量ファイルの伝送に成功した。航空機衛星通信にKa帯を用いることで数十Mbpsの高速な通信が行えることがわかり、災害時における被災地の情報共有や旅客機利用時のエンターテイメント利用においての有効性を示した。【参考文献【1情報通信研究機構,“超高速インターネット衛星(WINDS)特集,” 情報通信研究機構季報,vol.53, no.4, 2007年12月2Akira AKAISHI, Takashi TAKAHASHI, Mitsugu OHKAWA, Toshio ASAI, and Byeongpyo JEONG, ”Ka-band Mobile Earth Station for WINDS,” 29th ISTS, June 20133片山 典彦,赤石 明,本田英貴,高橋 卓,川崎和義,浅井敏男,吉村直子,豊嶋守生,“WINDS船舶用地球局を用いた洋上での衛星通信実験,” 信学技報, vol.116, no.144, SAT2016–31, pp.107–112, 2016年7月4Norihiko Katayama, et al., “Development of Aeronautical Earth Station for WINDS,” 30th International Symposium on Space Technology and Science, 2015-j-10, 20155図13 8の字飛行時のドップラ周波数の時間変動図14 UDPを用いた際のスループット特性図15 TCPを用いた際のスループット特性1313-8 航空機通信実験報告
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