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分に小さい場合には、比較的少ない演算量で十分な歪みの補償が可能であるため、衛星搭載用の歪み補償技術として有望である[2]。図1にDPDによる歪み補償の概念図を示す。一方で、DPDで補償可能な信号帯域幅はデバイスの動作クロックに依存するため、広帯域信号に対する補償では高速動作が必要であり、実際には帯域外領域に生じる歪み成分(スペクトラムリグロース)を全て除去することは難しい。そこでDPDによる歪み成分の除去だけでなく、増幅器とアンテナの間に位置する帯域制限フィルタ(BPF)等によって帯域外放射成分を減衰させることが必要である。実験構成と概要衛星通信路におけるDPD回路による非線形歪み補償の性能を確認するため、地球観測衛星の割当て周波数帯域と異なるが、同じKa帯の衛星回線として超高速インターネット衛星「きずな」(以下、WINDS)のマルチビームアンテナ(MBA:Multi-beam antenna)を用いたベントパイプ回線を使用して実験を行った。このときの実験系統図を図2に示す。また、DPD機能を搭載した変調試作ボードの外観写真を図3に示す。変調試作ボードから出力された変調信号は3 GHz帯の信号にアップコンバートされ、茨城県鹿嶋市にあるNICT鹿島宇宙技術センターの大型地球局[3](以下、鹿島局)のIFパッチの入力ポートに接続される。局内ではアップコンバータによって3 GHz帯の信号を28 GHz帯にアップコンバートし、高出力増幅器(HPA)によって増幅した後アンテナから衛星に向けて信号を送信する。WINDSでは受信した28 GHz帯3Input power [dB]Output power[dB]Linear lineInput power [dB]Phase shift[deg]Original characteristics of an amplifierCompensated characteristics of an amplifier by digital pre‐distortion図1 ディジタルプリディストーション(DPD)による増幅器の線形化概念図図2 WINDS実験系統図IFPatch3.2GHz25.05GHz3.2GHz9.8GHz3.2GHz28.25GHz18.45GHz3.2GHzMODboard〜HPAmixerU/CD/CTranslatormixerSpectrumAnalyzerLNABent‐pipe linkKIZUNA(WINDS)4.8mantennaHPA︓High power amplifierU/C︓Up converterD/C︓Down converter4.4GHz1.2GHzReceiver〜Signal Generator〜Signal Generator(clock signal)〜15.25GHz28 GHz band18 GHz band〜NICT Facilities〜Signal GeneratorHYBRID*Symbol constellation measurement*Spectrum measurement134   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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