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船舶用地球局は衛星を自動で捕捉及び追尾をするアンテナシステムを搭載しており、移動しながらでも回線を構築することが可能となっている。WINDSの再生交換中継方式[4]において、本地球局を用いた場合、最大24 Mbpsの回線が構築可能となっている。WINDS船舶用地球局に搭載しているアンテナは自局の位置とWINDSのBeacon信号の受信強度から衛星位置を推定し、自動捕捉、自動追尾するシステムとなっている。同じアンテナシステムを搭載した小型車載局[5]においては時速100 km/hの高速移動で衛星を追尾し、回線を構築できることを実証している[5]。本アンテナの追尾システムの概要を述べる。アンテナが衛星を捕捉するまでSearchingモードとなり、Open-Loop PointingでGPSによる自局の位置情報と衛星からのBeacon信号レベルを用いて衛星を捕捉する。捕捉後はBeacon Trackingモードに移り、モノパルス方式による衛星追尾が実行され、移動しながら回線を構築することが可能となる。Beacon Trackingモードで回線運用中に遮蔽物などでBeacon信号が受信できなくなった場合、Gyro Holdingモードに移り、GPSによる自局の位置情報や姿勢から推定してアンテナを衛星方向に動作させる。しかし60秒以上、Beacon信号が受信できない場合、Searchingモードに戻り、再度Open Loop Pointingで衛星を捕捉する動作に移る。以上の衛星捕捉、衛星追尾の過程を図3に示す。3.251M-VSAT調査船「みらい」に搭載したWINDS船舶局の相手局として、NICT鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市)にある51M-VSATを使用した。この地球局の外観と諸元をそれぞれ図4と表2に示す。WINDSの再生交換中継方式[4]で最大51 Mbpsの回線構築が可能な地球局である。実験方法4.1実験ネットワーク構成図本実験はWINDSのマルチビームアンテナ(MBA)[4]のエリアで実施し、洋上を移動するWINDS船舶用地球局はMBA中部ビーム、NICT鹿島宇宙技術センターの51M-VSATはMBA関東ビームを使用して4アンテナオフセットパラボラアンテナ(φ0.65m)周波数TX: 27.5 – 28.6 GHzRX: 17.7 – 18.8 GHz偏波直線偏波利得TX: 42.5 dBiRX: 38.0 dBi出力20 WG/T13.5 dB/KデータレートTX: 1.5/6/24 MbpsRX: 155 Mbps表1 WINDS船舶用地球局諸元図2 WINDS船舶用地球局外観 図3 衛星捕捉及び追尾過程 Searching Beacon TrackingBeacon lockTime Out ・Lost beacon lock・レベル低下 Beacon lockGyro Holding 図4 51M-VSAT外観 140 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術
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