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回線を構築した。実験のネットワーク構成を図5に示す。各地球局には電話会議システムとスループット測定のための測定用PCが接続されている。WINDS船舶用地球局にはアンテナの動作や衛星からのBeacon C/N0レベル等を記録するためのログ収集用PCが接続されている。4.2実験方法(a) 衛星追尾性能確認実験WINDS船舶用地球局ではアンテナの動作状況、Beacon C/N0受信レベル、地球局の位置情報、追尾精度等のログが取得できる。これらのデータを用いて、船舶の移動や動揺に対する衛星追尾の性能を評価する。(b) 伝送特性確認実験WINDS船舶用地球局と51M-VSAT間でTCP通信の伝送特性を把握するため、地球局のIDUに接続した測定用PCでスループット測定を行う。このPCのOSにはLinuxを用いており、輻輳制御を切り替えて高遅延環境に適した輻輳制御技術を評価する。また映像や音声伝送等を想定しUDP通信における伝送状況も確認する。TCP及びUDPにおける伝送特性はiperf [6]を用いて測定を行う。実験結果5.1WINDS船舶用地球局の追尾特性実験中、船舶は常に移動し、波により動揺しているため、静止状態は全くない。WINDS船舶用地球局の衛星追尾状況の一例として、船舶が8の字で移動した時のアンテナ動作とBeacon C/N0レベルの関係を調査した。船舶の移動の軌跡を図6に示す。今回の船には図7のような船舶の構造物があることから、船の向きにより、地球局と衛星の間の伝搬路を遮蔽して、通信ロス又は通信断が発生する。船上の遮蔽物により通信断となる範囲を調査するため方位角(AZ)方向とBeacon C/N0レベルの関係を図8のグラフに示した。アンテナ方位角情報は船首方向を0°として、アンテナの右回りが+方向、左回りが−方向となっている。衛星方向がほぼ南であり、図8のグラフより−120°~−147°の約27°の間で通信断となることから、船首がおよそ5アンテナオフセットパラボラアンテナ(φ1.2m)周波数TX: 27.5 – 28.6 GHzRX: 17.7 – 18.8 GHz偏波直線偏波利得TX: 47.6 dBiRX: 44.0 dBi出力40WG/T18.9 dB/KデータレートTX: 1.5/6/24/51 MbpsRX: 155 Mbps表2 51M-VSAT諸元図5 実験ネットワーク構成図 測定用PC電話会議システム測定用PC 電話会議 システム MBA 関東ビーム WINDS船舶用地球局[洋上]51M-VSAT [茨城県鹿嶋市] MBA中部ビームログ収集用PC図6 8の字移動の軌跡 緯度 [degree] 経度 [degree] 場所:駿河湾図7 船上の遮蔽物 1413-10 洋上通信実験報告
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