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とから、Gyro holding機能が正常に動作していることも確認できた。5.28の字移動時におけるTCP通信の伝送特性 5.1の8の字移動時にデータレート設定24 MbpsモードでWINDS回線を構築し、TCP通信のデータ伝送を行った。この時の伝送状況を図12に示す。遮蔽による通信断との関係を示すため、同じグラフに図11で示したBeacon C/N0レベルも記載した。ここではWINDS向けにチューニングした輻輳制御技術[7]を用いてTCPのスループット測定を行った。遮蔽物により、Beacon信号を受信できない時はインターロック機能が働き、電波の発射を停止するため通信断となるが、遮蔽物が衛星方向から外れ、再びBeacon信号を受信すると送信が開始される。再度通信が開始されると回線速度も数秒で最大値に到達していることから、8の字移動の間、遮蔽物による通信断を除き、TCP通信の状況も安定していた。5.3WINDSデータレートごとのTCP通信伝送特性衛星通信は遅延が非常に大きい環境であるためTCP通信を行う場合は回線のネットワーク帯域を十分に利用できない状況がある。その対策の1つとして、RTT値を基準に伝送するデータ量を制御する輻輳制御技術が有効[7]であり、さらにそのデータ量を回線状況に合わせて制御することで、より安定した通信が可能となることをこれまでの検討により確認している[7]。船舶移動時において、WINDS回線向けにチューニングした輻輳制御技術[7](WINDS用TCP)とLinuxに標準搭載されている輻輳制御技術(CUBIC [8])を用いた時のTCP通信のデータ伝送特性を比較した。WINDS回線のデータレート設定ごとのスループット測定結果を表3に示す。またWINDS回線のデータレート設定24 MbpsモードにおけるWINDS用TCPとCUBICのスループット変動をそれぞれ図13と図14に示す。表3より、6 Mbpsモードでは2種類の輻輳制御技術の違いで大きな差は現れないが、ネットワーク帯域が大きくなると輻輳制御技術の違いで伝送速度の差も大きくなっている。今回はデータレート設定51 Mbpsにおいても測定を行い、WINDS用TCPにおけるスループット測定値は約30 Mbpsを示し、CUBICを用いた時の結果と比較し約4倍近くの差が現れた。WINDSの再生交換中継方式では衛星搭載の交換機(ABS)[4]で処理されるため独自のフォーマットで地球局からデータが送信される。そのフォーマットをMPEG TSストリームと呼んでおり、その中に納まるデータ量がネットワーク帯域理論値の87.3%程度[7]になることを確認している。またWINDSの再生交換中継方式ではTDMA方式を採用しており、1スーパーフレームが320スロットで構成される。本実験においては衛星回線構築に必要な情報スロット等を除いた、288スロット使用してデータ伝送を行う回線とした。288スロットにおける各データレート設定の実伝送速図14 CUBICによるTCP通信状況 時間[sec] スループット [kbps] WINDS回線輻輳制御WINDS用TCPCUBIC6Mbps3.912 Mbps3.731 Mbps24Mbps15.052 Mbps6.851 Mbps51Mbps29.772 Mbps7.774 Mbps表3 輻輳制御別スループット比較表4 WINDS回線データレート別の288スロットにおける実伝送速度WINDS回線ネットワーク帯域理論値TCP実伝送速度6Mbps5.105 Mbps4.457 Mbps24Mbps19.143 Mbps16.712 Mbps51Mbps38.286 Mbps33.424 Mbps1433-10 洋上通信実験報告

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