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レメトリ)の残留キャリアである。また、HDカメラや無線LANアクセスポイントなど災害時、緊急時に有効な機能も搭載している。伝搬測定実験3.1実験方法伝搬測定実験は、WINDSより送信されるBeacon信号(18.9 GHz)を小型車載局において走行しながら受信することでBeacon信号の強度を測定した。Beacon信号の強度は、スペクトラムアナライザを用いて、約100 msごとに受信電力のピーク及び周波数を測定した。また、測定中の最高速度は高速道路において100 km/hであった。測定コースは南海トラフ地震が起こった際に巨大津波等の被害を受ける可能性のある場所として、図2に示す四国、近畿地方の太平洋沿岸の道路、図3に示す大分から鹿児島の海岸沿いの道路及び図4に示す島根から富山までの日本海沿岸の道路であり、走行しながら測定を行った。各図は Beacon信号受信電力マップを示し、遮蔽などにより受信電力が低下した場所は青色で表されている。なお、受信電力は各測定時における最大値で正規化している。3.2測定結果図5~7に四国近畿エリア、九州エリア、西日本日本海沿岸エリアにおけるBeacon受信電力の累積確率分布(CDF)を示す。図より衛星を捕捉できている見通し環境におけるBeacon信号の変動は2 dB程度となっており、衛星を捕捉できていない時はピークより−18~−20dB程度減衰したノイズフロア以下となっていることがわかる。なお、九州エリアでの見通し環境におけるBeacon信号の変動は5 dB程度となっているが、これは測定中に降雨があったために変動が大きくなったと考えられる。図2~4の衛星Beacon信号受信電力マップにおいて、濃紺で示される地点は衛星信号を捕捉できていない地点となる。本測定実験で走行したコースにおいて衛星を捕捉できた見通し環境の割合は四国近畿エリアで約70%、九州エリア、西日本日本海沿岸エリアで約80%であった。この時見通し外となる主な要因となる建築物は電柱、道路案内標識、周辺建物、崖、トンネル、鉄橋の柱、樹木等であり、大部分はトンネルによるものである。また、高速道路走行時において100 km/hの高速移動時においても衛星を捕捉していることを確認できた。図8にマルチビームアンテナ(MBA)九州ビームから送信された再生中継回線のTDMAリファレンスバースト信号の受信C/N0と、ビーム中心からの距離との関係を示す。鹿屋①と鹿屋②は同一の測定点において日付を変えて測定したものであるが、鹿屋②を測定した際は降雨があったため、鹿屋①のデータと比べて降雨減衰の影響で1.5 dB程減衰していることがわかる。また赤線で示した理論値と測定値の標準偏差は3図2 四国近畿エリアでの測定コース(Beacon電力マップ)図4 西日本日本海沿岸エリアでの測定コース(Beacon電力マップ)図3 九州エリアでの測定コース(Beacon電力マップ)3 超高速衛星通信技術148 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)
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