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とがわかった。図10に宇和島–高知間における測定結果を示す。図10(a)はドップラ周波数、(b)は小型車載局に搭載したアンテナの方位角、(c)は小型車載局の移動速度を示す。ドップラ周波数と方位角の関係性より、衛星はほぼ真南に位置するため、小型車載局が衛星方向となる南側へ移動する際にドップラ周波数は正の値を持ち、衛星から遠ざかる方向となる北側へ移動する際にドップラ周波数は負の値を持つことを確認できた。図11に四国近畿エリアで測定した全区間でのドップラ周波数のCDFを示す。この時のドップラ周波数の最大値は1094 Hzであった。ドップラ周波数fdは= (1)で与えられる。この時vは移動速度[m/s]、θは進行方向に対する電波の入射角、λは波長[m]である。実験に用いたBeacon信号の中心周波数を18.9 GHz、アンテナの仰角を41.3度、移動速度を100 km/hを(1)式に代入すると最大ドップラ周波数は1154 Hzとなり、測定されたドップラ周波数の最大値は理論値に従うことが確認できた。伝搬測定実験4.1データ伝送実験近畿四国エリアにおいては図12に示す9カ所の測定地点において、小型車載局が停車した静止状態にて、図13に示すように、「小型車載局」–「衛星」–「固定地球局(NICT鹿島宇宙技術センター:鹿嶋市)」との間でiperf [6]を用いてUDP通信を行い、パケットエラーが発生するレベルを測定することで、アップリンク及びダウンリンクの回線マージンの測定実験を行った。データ伝送実験はMBAを用いて再生交換中継方式24 Mbpsモードにて行った。使用したビームは宇和島、足摺岬、高知では中四国ビームを用い、その他のエリアでは近畿ビームを使用した。ビーム間での比較のた4図13 データ伝送実験ネットワーク構成図 WINDS固定地球局小型車載局回線監視用PC各測定点回線監視用PCNICT鹿島宇宙技術センター図12 データ伝送実験測定地点観測点宇和島足摺岬高知1坂出高知2室戸岬徳島和歌山串本鳥羽使用ビーム中四国ビーム近畿ビームビーム中心と観測点離角[deg]0.13950.22090.20730.13920.23540.19730.06950.04340.16340.2783アップリンク観測点アンテナ利得[dBi]47.944.445.146.642.24438.448.845.739.5回線マージン[dB](予測値)7.043.554.245.621.253.357.447.844.75-1.46回線マージン[dB](実測値)8.96.83.89.74.57.310.58.87.61.9偏差(実測値-予測値)1.863.25-0.444.083.253.953.060.962.853.36ダウンリンク観測点アンテナ利得[dBi]46.44545.347.145.246.147.94846.744.1回線マージン[dB](予測値)6.85.425.717.495.616.518.38.47.114.5回線マージン[dB](実測値)12.610.610.71312.213.114.314.41310.5偏差(実測値-予測値)5.85.184.995.516.596.59665.896表2 回線マージン測定結果(四国近畿エリア)3 超高速衛星通信技術150   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)

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