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値は要求値以内に収まっており、経年変化によりずれが大きくなっていることが考えられる。また、近畿ビームにおいても実測値と予測値の偏差が近畿地方の測定地点に比べ四国地方の測定地点が高いことから、ビーム中心は公称値よりも南西にずれていることが想定される。同様に九州エリアで測定したものを表3に示し、西日本日本海沿岸エリアで測定したものを表4に示す。両エリアにおいても今回測定したすべての地点においてプラスマージンとなっており、24 Mbpsモードにおいて通信が可能であることが確認された。むすびKa帯衛星通信システムにおいて広域における高速移動時の伝搬測定及びアップリンク回線、ダウンリンク回線のマージン測定を行った結果、高速移動時においても衛星を捕捉できることを確認した。また、今回測定を行ったコースにおいては四国近畿エリアでは約70%、九州エリア、西日本日本海沿岸エリアでは約80%以上のエリアにおいて衛星を捕捉することができた。またこれらエリアにおいて遮蔽される主な要因はトンネルに入るときであった。また、MBAからのリファレンスバースト信号の受信C/N0の測定結果より、測定値と理論値の偏差は±1 dB程度であり、よく一致することがわかった。さらに、ドップラ周波数の測定結果より、理論値とほぼ同様の結果を得ることができ、回線設計の際には移動速度から求められる最大ドップラ周波数を考慮すればよいことがわかった。また、回線マージン測定により、今回測定したすべてのエリアで24 Mbpsモードの十分通信可能であることを確認できた。トンネル以外において見通し外となる状況は一時的なものなので、今回測定したエリアにおいては災害時において衛星通信が有効的な手段であることを示した。【参考文献【1情報通信研究機構,“超高速インターネット衛星(WINDS)特集,”情報通信研究機構季報,vol.53, no.4, 2007年12月2Akira AKAISHI, Takashi TAKAHASHI, Mitsugu OHKAWA, Toshio ASAI, and Byeongpyo JEONG,”Ka-band Mobile Earth Station for WINDS,” 29th ISTS, June 20133菅智茂,高橋卓,川崎和義,赤石明,浅井敏男,鄭炳表,薄田一,村上修二,豊嶋守生,”Ka帯衛星通信における高速移動環境下での広域伝搬測定,”信学技法,vol.115, no.287,SAT2015-62,pp.79–84,2015年11月4菅智茂,赤石明,浅井敏男,高橋卓,川崎和義,鄭炳表,薄田一,村上修二,豊嶋守生,“九州地区におけるWINDSを用いた移動体衛星電波伝搬測定,”2016年電子情報通信学会総合大会,B-3-16,2016年3月5菅智茂,高橋卓,川崎和義,赤石明,浅井敏男,鄭炳表,薄田一,豊嶋守生,“西日本日本海側地域におけるWINDSを用いた移動体衛星電波伝搬測定,”信学技報, vol.116, no.470, SAT2016-75, pp.81–86, 2017年2月6https://iperf.fr/7小澤悟,島田政明,中村安雄,小石洋一,草間哲,平山勝規,前田健,福原圭太,“WINDS「きずな」マルチビームアンテナ(MBA)軌道上性能評価,”宇宙科学技術連合講演会講演集,vol.52,pp.ROMBUNNO.1A09,2008年菅 智茂 (かん ともしげ)ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室研究員博士(工学)衛星通信、電波伝搬赤石 明 (あかいし あきら)ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室技術員(当時)衛星通信システム鄭 炳表 (じょん びょんぴょ)耐災害ICT研究センター応用領域研究室主任研究員 博士(工学)防災、GIS、衛星通信川崎和義 (かわさき かずよし)ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室主任研究員 衛星通信浅井敏男 (あさい としお)ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室衛星通信システム高橋 卓 (たかはし たかし)ワイヤレスネットワーク総合研究センター宇宙通信研究室副室長衛星通信53 超高速衛星通信技術152 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)
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