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を区別して示している。図より実験中のネットワーク環境は一定ではなく、通信障害が発生したり発生しなかったりしたことがわかる。図10に図9で通信障害が発生しなかった場合の計測結果を示す。図10(a)、(b)のフォーマットは図8(a)、(b)と同様である。図10の結果は図8の結果の20分後に取得したものである。なおこの時間中は曇天が継続しており、ひまわり衛星画像の様子もおおむね図6のとおりであった。図10(a)の実効スループットは図8(a)とは異なりHpFPの目標スループットである10 Mbpsをわずかに下回る程度であり、良好な結果であるといえる。図10(b)においてはパケットロスが発生しているものの継続的ではない。また、RTTは初期と終了時を除いてほぼ一定である。図10(a)のスループットの低下は、図10(b)に示されるパケットロス発生に伴っている場合が多い。図10(c)はこの実験におけるCRCによる誤り検出数の時間変化である。検出は200ミリ秒ごとに行った。初期にわずかな誤り検出が行われているが、その後は誤り検出がほぼ0となっている。すなわち、図10(c)ではCRCによる誤り検出はわずかにしか発生していない。図10(b)のパケットロスの多くはビットエラーに起因しないロスであると考えられる。4.2.2通信障害発生時図11、12に図9で通信障害が発生した場合の計測結果を示す。図11の結果は図10の結果の8分前(したがって図8の12分後)に、図12の結果は図10の3分後に取得したものである。両図のフォーマットは図10と同じである。この実験は、時間的には図10の前後に行った実験である。したがって、WINDS衛星回線品質は短時間で変動したことになる。図11(a)及び図12(a)の実効スループット結果は図8(a)と同様にHpFPの目標スループットである10Mbpsを大きく下回っている。これは、図11(b)及び図12(b)に示されるパケットロスによる影響が大きいと考えられる。HpFPは一定のパケットロス率においても高い通信性能を発揮する[3]が、遅延500ミリ秒の静止軌道衛星通信においてはパケットロス率が10%を超える場合にはスループットの低下がみられることがわかっている[8]。また図11(b)及び図12(b)では、RTTはほぼ500ミリ秒で一定である。これは図11(a)及び図12(a)のスループットの低下がモデムバッファやトランスポンダにおけるバッファあふれに起因したものではないことを示唆している。図9 WINDS衛星実験タイムスケジュール:(a)前半実験、(b)後半実験 2016/12/27時刻t14:0013:0013:3013:16-13:174K映像伝送(図7)予備実験(図8)13:28-13:29通信障害発生時(図11)13:39-13:40通信障害発生時(図12)13:36-13:37通信障害非発生時(図10)(a)2016/12/27時刻t17:0017:0017:3017:20-17:21目標スループット100MbpsCRCチェック無し(図14)17:21-17:22目標スループット100MbpsCRCチェック有り(図15)17:25-17:26目標スループット1400MbpsCRCチェック有り(図16)(b)図10 通信障害非発生時実験(a)(b)(c)158 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術
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