HTML5 Webook
164/168

とはいえない。4.4スループット上限値WINDS衛星回線において、CRCにより回線品質を調べながらデータ通信を行いたい場合がある。図10において目標スループットをおおむね達成していることから、回線品質が良好な場合にはhperfにより全パケットのCRC を行いながら10 Mbpsのデータ伝送を実現することが可能であることがわかる。本節では、hperfを用いて全パケットの巡回冗長検査を行う場合に伝送可能なHpFPの最大スループットを調べる。なお、本節でCRCを行った時間帯については、誤りはほぼ検出されなかった。図14、15はHpFPの目標スループットを100 Mbpsに設定した場合、図16は目標スループットを1,400 Mbpsに設定した場合のHpFPのスループットを示す。これらの図のフォーマットは図8(a)、(b)と同じである。CRCを行わなかった図14(a)とCRCを行った図15(a)を比較すると、両者の結果には本質的な違いがなく、CRCの有無に関わりなく図10(a)と同様に目標スループットをほぼ達成している。一方で図16(a)では実効スループットは目標スループットを大きく下回っており、実効スループットは図14(a)や図15(a)と同程度である。この結果より、WINDS衛星回線においてデータ伝送を行いながら全パケットに対してCRCが可能な最大目標スループットは100 Mbpsであることがわかる。本節の議論から、本実験で用いたWINDS衛星のベントパイプ中継モードでは短時間にネットワーク環境が大きく変動することがあり、データ通信の信頼性担保のためにはCRCを行いながらのデータ伝送が必須である。したがって、データ到達の信頼性を確認しながらHpFPによりデータ通信を行う場合には、実効的な最大データ伝送速度は100 Mbpsであるといえる。図14 目標スループット100MbpsでCRCを行わなかった場合(a)(b)図15 目標スループット100MbpsでCRCを行った場合(a)(b)図16 目標スループット1400MbpsでCRCを行った場合(a)(b)160   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

元のページ  ../index.html#164

このブックを見る