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用なチャネルモデル(インパルス応答)を開発するための電力遅延プロファイル測定が行えるように電波伝搬測定システムを構築した。伝搬測定は、神奈川県横須賀市の市街地環境で行った。基地局と移動局の様子について、図4、5に示す。測定では移動局は図6に示す実線のルートを走行し、図中の赤実線は送受信間に見通しがある場所を示しており、青実線は見通しのない場所を示す。図7、8には取得したデータを見通し、見通し外環境に分類して、伝送距離に対する伝搬損失を求めた結果を示す。また各周波数での伝搬損失モデルを開発するため、次式の伝搬損失モデルを基に最小二乗法で近似して求めた近似直線も併記した。dB][log100100ddnLPL(1)dB][28log20100fL(2)ここに、L0は参照距離d0 = 1 mでの伝搬損失である。nはパスロス係数であり、モデルのパラメータとなる。dは送受信アンテナ間距離として定義する。周波数f の単位はMHzである。抽出したパスロス係数nに注目すると、見通し環境では自由空間の場合(n = 2)よりも僅かに大きくなり、n = 2.1~2.4程度となった。見通し外環境ではn = 3.1~3.3程度となり、伝搬損失は増加するが、直進性が高いミリ波でも全く受信できなくなるわけではなく、建物による反射波や建物屋上の回折波が受信されていることがわかった。本測定で得られた結果は、今後の無線装置開発において、回線設計や干渉評価の検討に役立てていく予定である。また、得られた結果の一部は議題1.13に必要な屋外近距離伝搬モデルを検討しているITU-R SG3のWP3K CG 3K-6に提案した。テラヘルツ波電波伝搬に関する研究[4][5]テラヘルツ波の電波伝搬の研究では、NICTでは300 GHz帯を中心とした無線通信システムの実現を目指しており、300GHz帯電波伝搬特性の明確化を目的としている。これはWRC-19議題1.15の275–450GHzにおける陸上移動及び固定業務への周波数の特定に対応した研究内容でもある。本章では300 GHz帯屋内伝搬の特性とその伝搬モデルについて述べる。300GHz帯広帯域無線通信システムの利用方法のひとつとして、サーバルームにおけるサーバ間の高速データ通信が検討されている。そこで図9に示すようなサーバルーム環境において、サーバ筐体上に送受信機が設置されることを想定して、伝搬損失の距離特性を測定した。各サーバ筐体は金属製であり、図10に3図9 サーバルーム環境(Copyright(C)2017 IEICE, [4] Fig.1)図7 市街地見通し環境の伝搬損失測定結果(Copyright(C)2017 IEICE, [3] Fig. 10)22.12.22.32.4100110120130140log10 dPath loss (dB) 32.3 GHz 40.25 GHz 44.45 GHz 46.25 GHz 48.5 GHz図8 市街地見通し外環境の伝搬損失測定結果(Copyright(C)2017 IEICE, [3] Fig. 10)22.12.22.32.4100110120130140150160log10 dPath loss (dB) 32.3 GHz 40.25 GHz 44.45 GHz 46.25 GHz 48.5 GHz192-3 ミリ波及びテラヘルツ波の高度利用に向けた伝搬モデルに関する研究
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