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方式[3]–[7]の動作例を示す。本MACは、NICTが提案し、IEEE 802.15.4eにおいて定義される省電力スーパフレーム構造を適用している[8][9]。スーパフレームとは、時分割多元接続(TDMA: Time Division Multiple Access)制御の基本となる時間周期であり、周期的なビーコン信号によって規定される。基本的な時間単位となるビーコン間隔(BI: Beacon Interval)は、アクティブ(送受信、または待受け)期間(AP:Active Perio)とスリープ(電源を落とし、送受信、待受けの動作も行わない)期間(SP:Sleep Period)に分割され、アクティブ期間は実質的な通信期間として運用される一方で、スリープ期間では各デバイスはスリープ状態に入ることができる。省電力動作のために、ビーコン信号は毎スーパフレームに送信されるのではなく、原則的に時間同期が必要な場合にのみ送信される。また、図のようにアクティブ期間は、データフレームより短期間となる場合があり、データフレームの終了はアクティブ期間内に制限されず、次のスーパフレームの開始時点以前であればよいとする。結果として、データフレーム長にかかわらずアクティブ期間を短縮化することが可能となる。すなわち、各端末によるデータフレームの送受信の開始及び待機のための受信状態はアクティブ期間においてのみ行われ、スリープ期間ではアクティブ期間から継続するデータフレーム送受信にかかわる端末以外はスリープ状態に入ることができるため、消費電力の低減が図られる。2.2PANトポロジにおけるマルチホップ通信図3に、SUNにおいて前提とされるパーソナルエリアネットワーク(PAN:Personal Area Network)のトポロジにおいて、前節で述べた省電力MAC方式を用いてマルチホップ通信を実現する動作例を示す。PANは、IEEE 802.15.4規格[10]によって規定される無線端末ネットワークであり、最初に起動されPAN設立を宣言するPANコーディネータと呼ばれる無線端末と、それ以降に起動され、PANに対して加入手続きであるアソシエーションを行う無線端末によって構成される。アソシエーションを行う無線端末と、アソシエーションを受理する無線端末の関係に注目すると、PANコーディネータを根とするツリー構造のPANトポロジを見出すことができ、本検討では、本ツリー構造を利用し、PANコーディネータを収集局図1 スマートユーティリティネットワークの概要アクティブ期間APtスリープ期間SP必要に応じて送信される同期用信号(ビーコン)データフレームビーコン間隔BI (間欠待受周期)図2 省電力MAC方式の動作例tttD3 / D4送信D1 受信D1 / D2送信CS 受信tD1の状態送信期間CSによるBID1によるBID1によるAPD2D3D4CSD1D3からD1への送信データD1からCSへの送信データCS (Collection station): 収集制御局Dn (Device n): 端末 nCSによるAP受信/待受 期間スリープ期間図3 マルチホップ通信の動作例24   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)2 地上通信技術の研究開発

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