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(CS;:Collection Station)として、他の端末からのデータを収集するマルチホップ通信形態を提案する。図3では、D3あるいはD4の端末がD1へとデータフレームを送信する場合には、D1の規定するスーパフレームに従い、それに対してD1がCSに送信する場合には、CSのスーパフレームに従って送信していることが確認できる。図4に、上述した省電力マルチホップ通信を前提とした場合の、電池寿命の試算結果を示す。想定する電池容量は、単三乾電池3本としている。試算結果により、ビーコン間隔が80秒、データ長が100オクテットとした場合で、データ発生間隔が1分程度の場合に、10年以上の電池寿命を期待できることがわかった。2.3制御等のための低遅延通信の検討省電力動作の根本的原理が、スリープ期間の導入による間欠的な待受けであることは前節までに述べたとおりである。一方でワイヤレスグリッドの動作形態として、無線端末に接続される機器としてセンサ等を想定し、主に各端末から収集制御局へのデータ伝送が行われるセンシング動作のほかに、無線端末に接続される機器としてアクチュエータ等を想定し、収集制御局から各端末へのデータ伝送を行う制御動作も含められると考えられる。そのような制御動作については、スリープ期間の導入により必然的にもたらされる遅延が深刻となる場合があることが予想される。そこで本研究開発では、省電力のセンシング動作と並行して、低遅延の制御動作を実現する形態について検討している。図5に低遅延通信の概念を示す。本検討ではPANにおいて、上述のアクチュエータ等が接続される端末を被制御端末、また収集制御局から、当該被制御端末までのマルチホップ通信経路に存する端末を制御支援端末と定義し、被制御端末及び制御支援端末については、制御動作のためのデータ伝送を扱うことから、上記のスリープ期間を調整し、遅延時間が許容範囲に収まるような動作を行う。図5は最も明快な例で、被制御端末及び制御支援端末はいずれもスリープ期間を適用しない動作例を示している。提案する低遅延通信の動作を確認するための評価試験について、概要を図6に、結果を表1にそれぞれ示す。表1は、図6(b)における端末D4、D5に対するCSからのデータ伝送について、遅延時間に関する特性をまとめたものである。図6(b)では、各端末はビーコン間隔を10秒とするマルチホップ通信トポロジを構成しているが、端末D5、D2はそれぞれ被制御端末、制御支援端末として設定され、スリープ期間を導入しない動作を行うものとした。その結果、表1のとおり、低遅延動作を行わない場合には、ビーコン間隔に起因する遅延が発生するが、低遅延動作によりその影響が解消されることがわかった。024681012101102103104105データ発生間隔 (秒)電池寿命 (年)データ長=500 オクテットビーコン間隔=80秒ビーコン間隔=10秒データ長=100 オクテット図4 電池寿命の試算図5 低遅延通信の概念tttCSのBID1のBID1のAPD2D3D4CSD1CSのAPtD3のデータCSD1D3D4D4のデータD4を制御tttD2D3D4CSD1tD3のデータCSD1D3D4D4のデータD4を制御被制御端末制御支援端末(a) 従来動作(b) 低遅延動作252-4 農業・漁業センシング等に有効な省電力グリッド技術の研究開発

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