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省電力無線機の開発と実装3.1省電力無線モジュールの概要図7に、開発された省電力無線モジュールを示す。また、表2に本モジュールの諸元を示す。本モジュールは、多様な利用形態を想定したうえでのFEC(Forward Error Correction:前方誤り訂正)等、付加的機能まで含めたうえで、物理層・MAC層集積回路及び制御用MCU(Micro Controller Unit: 組込型マイクロプロセッサ)の4 cm×2 cmの基盤上での極小構成に成功している。本モジュールは、スマートメータへの収容のみならず、風雨の影響を考慮した屋外設置型モニタリングポストへの設置や、USB端子を具備したプラグイン型の小型無線機等、センサ等接続機器と同様に、極めて多様な利用環境に展開されることが予想される。3.2漁業分野への適用実証以降では、省電力無線モジュールを組み込んだ省電力無線機の適用による、省電力ワイヤレスグリッドの実証について報告する。本節では漁業分野への適用実証として、もずく漁業における遠隔センシングの例を述べる。本実証では、沿岸より2 km程度離れた海域の、深さ約8 mの海底にあるもずく養殖場近辺の水温及び塩分濃度を測定するセンサに接続され、同時に頂上部分に省電力無線機を搭載したセンサブイを海面に複数敷設し、省電力マルチホップ通信を介して沿岸の建物内まで定期的に得られた上記センシングデータを収集することに成功した。図8に本実証におけるセンサブイの外観、図9にセンサブイ設置の外観をそれぞれ示す。3図6 低遅延通信評価試験の概要CSD1D2D3D4D5D6: 収集データの流れ: 制御データの流れ(a) 機器構成(b) トポロジとデータ伝送の概要表1 低遅延通信の評価結果制御先無線機平均遅延時間遅延時間分散D5 (低遅延動作あり)0.0s0.0s2D4 (低遅延動作なし)15.15s16.87s2表2 省電力無線モジュールの諸元サイズ20 mm × 40 mm × 3 mm重量4 g周波数帯920.6 ~ 928.0 MHz送信電力20 mW変調方式2GFSKデータレート50、100、200 kb/s消費電流Active state: 50 mASleep state: 30 μA入出力インタフェースシリアル図7 省電力無線モジュールの外観26   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)2 地上通信技術の研究開発

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