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2.4無線通信仮想化機能本機能は、想定するアプリケーションに応じて、データフレームの差別化を行い、それぞれに適切な処理(メッシュルートへの経路の構築と選択)を各無線機で行う機能である。図4に、無線通信仮想化機能の動作例を示す。本機能では、2つのメッシュルート無線機R1、R2により、それぞれメッシュが構成され、それぞれが異なるサービスを提供する状況を示している。この場合、A、B、C、Dの無線機は、同時にそれら2つのメッシュに参加することができ、それぞれのメッシュにおける経路に従って、それぞれのサービスに関するデータフレームが中継されることになる。レイヤ2経路選択制御の実証3.1宅内エネルギー管理システムへの適用実証本章では、NICTにおけるレイヤ2経路選択制御の実証例について述べる。図5は、家庭内のエネルギー消費形態を管理するための、宅内エネルギー管理システム(HEMS: Home Energy Management System)のシステム概念である。HEMSは、HEMSコントローラがスマートメータ、各種家電とECHONET Lite [9][10]という上位層通信プロトコルで接続し、消費電力の見える化や家電からのデータ収集、家電の制御等まで行うシステムであるが、このうちHEMSコントローラとスマートメータ間の接続であるBルート、HEMSコントローラと各家電との接続であるHAN(Home Energy Network)をそれぞれSUN無線リンクにより実装することが考えられている。図6は、HANを実現するための無線機適用実証例を示す。3.2評価用装置の開発 2で述べたレイヤ2経路選択制御機能の包括的な評価を行う目的で、評価用装置の開発を行った。図7に評価用装置の外観を示す。本検討では、メッシュルートの機能を有する端末2台と、非メッシュルート端末10台により構成されるPANにおいて、前述のMAC層制御によるメッシュ構造の構築及び運用の動作特性評価を行った。図8に当該経路選択制御機能のうち、無線通信仮想化機能の動作表示例を示す。本動作では、同一PANの内部で、2台のメッシュルートによりそれぞれ異なる図2のようなレイヤ2メッシュ構造が構築されている様子が図示されている。また、一部の端3RABCDmmnDCBDABCD: メッシュルート無線機: 非メッシュルート無線機: 通信可能な無線リンク (IEEE 802.15.4 PANリンク): メッシュルートへの経路: 無線機mからのメッシュルートあてデータフレーム: 無線機m及びnからのメッシュルートあて結合データフレーム図3 データフレーム結合機能HEMSコントローラスマートメータ中継器BルートHANHEMSコントローラ側無線機HEMSコントローラスマートタップ+ドライヤ:HAN無線リンク表示・操作用PC中継器無線機能付家電LED照明 : サービスに応じた メッシュルートへの経路: メッシュルート無線機 (それぞれ異なるサービスを提供): 非メッシュルート無線機: 通信可能な無線リンク (IEEE 802.15.4 PANリンク)R2R1ACBD図4 無線通信仮想化機能図5 HEMSのシステム概念図6 HAN実現のための無線機適用実証例312-5 ビル内センシング等に有効な大規模メッシュ構築技術の研究開発

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