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クトラムアナライザのスナップショットである。縦軸が観測された信号の強度を表している。2015年7月よりも12月の方が、利用チャネル数が増え、信号強度が高くなっていることから、920MHz帯の利用が増加していることがわかる。同様に、2.4GHz帯や5GHz帯でも全体的に帯域利用の増加が見られた。ただし、いずれの場合も帯域自体にはまだゆとりがあり、パケット損失率等には大きな変化は見られなかった。このように、無線化の進行が進むにつれ、電波環境が変化していく。無線化の進行は、都市の成長に伴うインフラの整備と類似の段階を踏むと考えられる。このため、都市の成長段階と同じ4つの段階に分類する。第1段階を初期段階(①Initial Stage)、第2段階を成長段階(②Growing Stage)、第3段階を成熟段階(③Mature Stage)、第4段階を再構成段階(④Reconfiguration/Total Management Stage)と呼ぶ。①Initial Stageでは、データサイズが50 Byteより小さく、また定時性が厳しく求められないOK/NGなどの可視化、リモートコントローラ等のデータのやりとりのみが無線で行われている状態である。無線通信を用いる新しい製造機器は、通信可能な無線通信方式を使えば大きな工夫をしなくても安定動作が可能である。②Growing Stageでは、センシングデータやRF-IDなどある程度の頻度でデータ送受信が行われる機器の無線化が見られる。許容遅延事件は数秒~数分である。③Mature Stageでは、インラインの検査機や工場内の移動体の制御など数百ミリ秒~数秒程度の遅延が求められるシステムの無線化が進んだ状態である。このMature Stageにおいては、アプリケーションの無線通信部分の最適化が2つの方向性に進むと考えられる。さらに、無線化が進んだ④Reconfiguration/Total Management Stageは、構内ネットワークの無線化、構内電話がIP電話化、遠隔監視向けの定期的なデータ送受信や画像データのリアルタイム送信など、先進的なアプリケーションなどが導入された状態である。ここで述べた4段階の無線化段階(Unwire Stage)を定義する。① Initial Stage② Growing Stage③ Mature Stage ③-1 Communication Quality Specific Optimiza-tion Stage③-2 Application Specific Optimization Stage④ Reconfiguration/Total Management Stage4段階のStageは、図5に示すように、1システムあたりの無線帯域占有率と、通信における異常値発生度の2軸で分類するものとする。製造機器の設計は、製造現場全体で行われるのではなく、局所的に行われる。そのため、各製造機器に無線通信が利用される場合も個別に選定、実装される。各無線通信方式の選定は 2種類の視点で行われる。1つが、特定のデータパケットのみの損失に着目した通信品質特化型のシステムが存在するステージ(③-1 Quality Specific Optimization Stage)で、もう1つが先進的な付加価値を製造機器に与えるようなシステムが存在するステージ(③-2 Application Specific Optimization Stage)である。その具体例を紹介する。③-1 Communication Quality Specific Optimization Stage本ステージは、特定のデータパケットのみの損失にのみ着目した通信品質特化型のシステムが存在するステージであり、移動体の制御などに用いられる。その図5 4段階のUnwire Stage図6 製造ライン動作概略図372-6 無線通信技術を活用したスマート工場実現に向けて
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