HTML5 Webook
48/168
L(dB) = 20log 20() (2)より、伝搬距離の差に換算することができる。L() −L() = 20log() − 20log () (3)すなわち、同じアンテナを用いた場合、250 mW通信端末と20 mW通信端末の伝搬距離の差はD2 ≈ 3.5×D1である。いずれの通信端末も信号帯域幅が400 kHzで、GFSK変調と誤り検出符号CRC-16を用いた。伝送レートは115,200 bpsである。以下では開発した試験端末のそれぞれの働きについて説明する。3.1サイネージ端末サイネージ端末の画面表示例を図2(a)に示す。表示画面は、(1)日付・時間、(2)天気情報、(3)交通情報・緊急情報、(4)コンテンツ、の4つのエリアから構成される。コンテンツ・エリアは地域行政関連の情報や、ニュース、イベント広告などを表示する。コンテンツは通常区役所や役場等のWEBから取得するが、手入力することも可能である。サイネージ端末は図2(b)に示す役場などの公共施設に置くもの(S-F)と図2(c)に示すバス内に取り付けるもの(S-B)がある。バスの移動に伴って、S-Bに内蔵される通信端末は通信範囲に入ってくる他の通信端末と情報交換することによって、表示画面の内容を更新していく。一方、S-FはS-Bから受け取った情報をもって表示画面の内容を更新する。S-FとS-Bは基本的に20 mW通信端末を用いる。ただし、後述するバスロケーション案内を実現するために、精華くるりんバスの中に取り付けたサイネージ端末は250 mW通信端末を用いた。また、サイネージ端末にはGPS受信機を内蔵している。3.2屋上端末屋上端末は建物の屋上などの高い位置に設置する試験端末で、通信エリアを拡大し、ネットワークの接続性をよくする役割を果たす。そのために、すべての屋上端末は250 mW通信端末を用いる。商用電源を備えない屋上環境や災害時などを想定した太陽電池を用いた自立型屋上端末と商用電源を利用できる環境で、簡単に設置できる簡易型屋上端末を開発した。図3(a)、(b)にそれぞれ設置後の自立型屋上端末と簡易型屋上端末を示す。自立型屋上端末が用いた太陽電池の最大蓄電容量は640Whに対して、通信端末の消費電力が約2Wである。80%蓄電によって通信端末の連続稼働時間が次式によって計算できる。640Wh×80% / 2W = 256h(4)すなわち10日間以上の連続稼働でき、天候が良くない梅雨等においても安定した運用が可能である。なお、自立型屋上端末は独立した送信アンテナと受信用アンテナを用いているが、簡易型屋上端末は設置を更に簡便にするため、送受信共用アンテナを用いた。屋上端末同士間で送受信を行うほか、バスのGPSより得られたバス位置情報や次項で述べるセンサ端末からのセンサデータなどを受け取る役割を果たす。なお、屋上端末にもGPS受信機が内蔵されている。3.3センサ端末センサ端末(Sen)には温度、湿度、照度、モーションなどのセンサ及びGPS受信機が含まれている。どんな場所でも設置可能とするため、自立型屋上端末と送信アンテナ通信端末太陽電池パネル太陽電池本体受信アンテナ送受信共用アンテナ通信端末(a) 自立型屋上端末の例(b) 簡易型屋上端末の例図3 設置した屋上端末の例2 地上通信技術の研究開発44 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)
元のページ
../index.html#48