HTML5 Webook
53/168

まえがき海中における電波利用は、近年の深海及び海底を対象とした探査技術の進展に伴って、海底下資源探査レーダや数Mbps海中ワイヤレス通信等のニーズが顕在化している[1][2]。図1にはJAMSTECが示している海中における電磁波利用例を示す。海底下資源の探査を目的として、海底鉱物探査レーダや海底探査ロボット制御における電磁波の利用が期待されている。このような利用例に基づき、海中における電波利用システムの設計・開発を行うためには、海中における電波伝搬特性を明らかにすることが不可欠である。電波伝搬特性を測定するためには、陸上におけるチャネルサウンダの構築とその測定結果を用いた解析手法が活用できるものの、海中では水圧等の影響で多くの制約が生じることから、新たな測定系の構築が必要になる。このことから、本稿では、海中を対象とした電波伝搬特性の測定系である海中チャネルサウンダの開発について述べる。海中チャネルサウンダの開発2.1 構成 [3] 海中チャネルサウンダの外観を図2に示す。サイズは2.7 m(奥行)×2.5 m(幅)×2.2 m(高さ)、重量は12図1 海中における電磁波利用の例 [1][2]図2 海中チャネルサウンダの外観2-8 極限環境ワイヤレス(海中ワイヤレス)に関する研究開発吉田 弘 菅 良太郎 松田隆志 滝沢賢一 児島史秀近年の海底等を対象とした探査技術の進展に伴い、海中における電波利用に対するニーズが顕在化している。これを受けて、情報通信研究機構(NICT)は海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究によって、海中における電波利用に関する研究開発に取り組んでいる。本稿では、海中における電波伝搬特性を明らかにするため、海中における電波伝搬測定系(チャネルサウンダ)の開発を進めていることから、その概要及び測定例を紹介する。492 地上通信技術の研究開発

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る