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し、世界的に豊富な運用実績をもつ本格的な小型無人機を運用しながらフィールドでの経験を一つひとつ重ねることで、無人機の無線通信運用に関わるノウハウを蓄積し、課題の解決策を検討してきた。また、固定翼無人機を飛行させる数多くの実証実験の過程において、多くのメディアの取材を受け、一般紙を含む計11以上の新聞に掲載されるとともに、NHK やテレビ東京を含む計5 つのTV 報道番組で放映された。さらに、そうした経験に基づき、マルチロータ型の無人機をも対象として目視外・電波見通し外飛行やその位置情報共有に関する技術の開発を進めた。一方、こうした技術の社会での活用を目指し、原子力発電所周辺の無人機による放射線モニタリング方式の開発を目指している研究機関や見通し環境が得られにくい山間部での電力インフラの点検への活用を目指している事業者、さらにはその他ドローンのビジネス拡大をねらっているベンチャー企業等との共同研究もスタート、あるいはその準備が進められている。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの受託研究(2017年~)も他機関と共同で受託することとなり、本稿で紹介した技術の更なる拡張と実用に耐えるシステムの実現を目指した活動も開始している。こうした活動を通じ、今後拡大が見込まれる無人機の運用技術に関する競争力確保と社会貢献に寄与したいと考えている。謝辞本研究開発の一部は、本文にも記載したとおり、総務省の委託研究開発(電波資源拡大のための研究開発)及び内閣府の革新的研究開発プログラム(ImPACT)において実施されたものである。また、実証実験に協力いただいた関連自治体、関連事業者等の各機関及び防災関連で一部連携して活動しているNICTソーシャルイノベーションユニット耐災害ICT研究センター各位に深く感謝を申し上げる。【参考文献【1エアロバイロンメント社HP, https://www.avinc.com/uas/view/puma2三浦,滝沢,小野,鈴木,“大規模災害で孤立した地域を上空からつなぐ!-小型無人飛行機を活用した無線中継システム-,” NICT News、5月号,no.428, http://www.nict.go.jp/publication/ NICT-News/1305/01.html、(2013年5月)3H. Tsuji, “Development of Wireless Link Applications for Small UAS in Japan,” ICAO FSMP-WG/4 and Regional Spectrum Seminar, Bangkok, Thailand, Mar. pp.27–28, 2017 (https://www.icao.int/APAC/Meetings/2017%20RPGITUWRC19/WP05_WRC19RPG23_WirelessLinkAppsForSmallUAS_Tsuji_v4.pdf)4F. Ono, B.P. Jeong, Y. Owada, L. Shan, and R. Miura, “Hybrid multi-hop network by small-unmanned aircraft and satellite telecommunication systems,” Proc. WPMC 2015, Hyderabad, India, Dec. pp.13–16 2015.5小野,加川,単,三浦,児島,“小型無人航空機による電波環境計測に関する一検討-2.4 GHz 帯と 5.7 GHz の計測結果,”電子情報通信学会ワイドバンドシステム研究会技術研究報告,宇都宮,2017 年5月26日6福島県ロボット産業推進室 HP, https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/32021f/ kankyoukeisoku-kekka.html7三浦,安達,多田,米本,渡辺,“無人航空機を活用した無線中継システムと地上ネットワークとの連携及び共用技術の研究開発,”電波資源拡大のための研究開発成果発表会予稿集,東京,2016年12月2日(http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/fees/ purpose/ pdf/H27_RD01.pdf)8APT AWG HP, http://www.aptsec.org/APTAWG9情報通信審議会情報通信技術分科会陸上無線通信委員会報告資料,平成28年2月10総務省電波利用 HP, http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/drone/11日本無人機運行管理コンソーシアムHP, http://www.jutm.org/12総務省電波政策 2020 懇談会ワイヤレスビジネスタスクフォース資料,http://www.soumu.go.jp/main_content/000401757.pdf13タフ・ロボティクス・チャレンジHP, http://www.jst.go.jp/impact/program/07.html14首相官邸HP,http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/15経済産業省HP,http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/ro-bot/ drone.html16総務省電波利用 HP, http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/uav/17加川,小野,単,滝沢,三浦,加藤,児島,“タフ・ロボティクスのためのタフ・ワイヤレス技術の研究開発―伝送遅延時間保証型マルチホップネットワーク―,”ROBOMECH2017 予稿集,福島県郡山市,2017年5月11日18単,加川,三浦,李,小野,滝沢,児島,“見通し外でのドローン運航のための無線技術ードローンマッパードローン間位置情報共有システム,” ROBOMECH2017 予稿集,福島県郡山市,2017年5月11 日三浦 龍 (みうら りゅう)ワイヤレスネットワーク総合研究センター上席研究員博士(工学)移動通信、無線制御通信、無人機通信システム小野考枝 (おの ふみえ)ワイヤレスネットワーク総合研究センターワイヤレスシステム研究室主任研究員博士(工学)移動通信、電波伝搬、無人機通信システム加川敏規 (かがわ としのり)ワイヤレスネットワーク総合研究センターワイヤレスシステム研究室研究員博士(工学)無線制御通信、無人機通信システム、ウルトラワイドバンド単 麟 (たん りん)ワイヤレスネットワーク総合研究センターワイヤレスシステム研究室研究員博士(情報学)無線通信、移動通信、端末間通信、無人機通信システム62   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)2 地上通信技術の研究開発

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