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 平成25年4月から後期運用に入りNICTは定常運用時の基本実験から継続して実施する実験及び新たに開始した災害対策実験等を合わせて、後期基本実験計画を立て実験を実施している。 後期運用時の実験実施体制を図2に示す。NICTとJAXA間のスケジュール等は実験調整会議を開催し、調整を行っている。また、実験計画や実験結果については、総務省が主催する衛星アプリケーション実験推進会議に報告し、評価・助言を得て実験を推進している。NICT後期基本実験NICTが立案・実施した後期基本実験項目を表1に示す。後期基本実験開始から4年以上が経過し、既に終了しているものもあるが、紹介する。3.1フルオート可搬型実験地球局機能検証実験 平成23年3月に発生した東日本大震災の後、専門家でなくても容易に地球局のセットアップから衛星捕捉まで可能なフルオート可搬型実験地球局の開発を行った。 この地球局の機能・性能の確認を行った。3.2小型車載実験地球局機能検証実験 東日本大震災の教訓から、被災地への移動途中にも派遣元との通信が可能となるよう、走行中にも衛星を追尾し続け通信できる地球局を開発した。 この地球局の追尾特性や基本伝送特性など機能・性能の確認を行った。 また、この地球局を用いて移動しながら伝搬特性測定を実施している。その成果は本報告書3-11にて紹介している。3.3船舶搭載実験地球局機能検証実験 小型車載実験地球局に搭載されているアンテナを船舶に搭載し、船舶と地上を衛星回線で結び、追尾特性や基本伝送特性など機能・性能の確認を行った。 海洋研究開発機構と共同で調査船に本地球局を搭載し、調査船と接続された無人海中探査機を陸上から衛星経由で遠隔操作する実験を世界で初めて成功させている[2]。3.4衛星ネットワーク実験 定常運用時の基本実験から引き続き実施する実験。WINDSを使用してスター型あるいはメッシュ型に構成した衛星ネットワークにおいて、上位プロトコル(TCP/IP等)のスループット等特性評価を行う。3.5災害対策実験 平成23年3月に発生した東日本大震災時にはWINDSを使用した臨時通信回線を提供することにより衛星通信のプレゼンスを示すことができた。 大規模災害により広域で通信インフラが損壊した場合でも、被災状況等を迅速に把握するための映像情報、救援活動のためのデータ・音声等各種情報を衛星通信網と無線LAN等の地上網との総合ネットワークにより提供するための検証実験を実施する。 本実験の成果は本報告書3-3にて紹介している。3.6地上網との接続実験 定常運用時の基本実験から引き続き、WINDS衛星網にJGNや無線LAN等の地上網を接続し、映像・音声・データ等の総合伝送特性を検証する。 立体(3D)4K-HDTVカメラで撮影した映像をNICTで開発した622/1244 Mbpsデュアルレート高速バーストモデムTDMA衛星通信システムとJGNを組み合わせて高品質に配信した実験例を本報告書3-4にて紹介している。3.7医療ICT衛星通信実験 定常運用時の基本実験から引き続き、横浜国立大学との共同研究で進めている実験である。3図2 後期運用時の実験実施体制報告評価・助言衛星アプリケーション実験推進会議JAXA社会科実験NICT後期基本実験実験調整会議報告評価・助言実験番号実験項目N-L-01フルオート可搬型実験地球局機能検証実験N-L-02小型車載実験地球局機能検証実験N-L-03船舶搭載実験地球局機能検証実験N-L-04衛星ネットワーク実験N-L-05災害対策実験N-L-06地上網との接続実験N-L-07医療ICT衛星通信実験N-L-08将来衛星技術基礎実験表1 後期基本実験項目66   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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