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まえがきWINDS搭載ベースバンド交換部(ABS)を使用した再生交換中継回線[1]でのKa帯降雨減衰補償実験を行い、その有用性が検証されたのでその実験結果を報告する。また、Ka帯のWINDS再生交換中継用TDMAリファレンスバースト(RB)信号及びWINDS網情報信号残留キャリアの降雨減衰特性を測定し、降雨減衰量と降雨量の相関、降雨減衰量と降雨減衰の変化速度の相関データを得ることができたので併せて報告する[2]。WINDS再生交換中継のアップリンクは1.5M/6M/24M/51MモードTDMAで、ダウンリンクは155 MモードTDMAである[1]。衛星ビームは固定マルチビーム (MBA) と電子走査ビーム (APAA) の両方を使用した実験を行った。再生交換中継では衛星中継器で復調/交換/変調処理を行っているので、アップリンクとダウンリンク衛星回線設計を独立して扱うことができ、降雨減衰補償もアップリンクとダウンリンクを分けて行える。地球局は、MBAでは1 mアンテナ可搬局、1.2 mアンテナVSAT、2.4 mアンテナVSAT、APAAでは、1.8 mアンテナVSAT、2.4 mアンテナVSATを使用した。また4.8 mアンテナ鹿島大型地球局を使用したMBA及びAPAAでの再生交換中継実験も行った。地球局送信終段増幅器は、40 W SSPA、75 W TWTA、250 W TWTAである。再生交換中継の降雨減衰補償量は地球局アンテナサイズ、送信終段増幅器出力電力により異なるが、ここではMBAは1.2 mアンテナ/40 W SSPA VSAT、APAAは2.4 mアンテナ/250 W TWTA VSATでの結果を基準として報告する。もちろん、地球局アンテナサイズ及び送信終段増幅器出力電力が大きくなれば、その特性に比例して降雨減衰補償量は増加する。また、本報告のMBA実験は鹿島に設置した地球局及び関東ビーム使用しているので、WINDS衛星諸元1図1 再生交換中継降雨減衰補償実験の屋外装置 1.2m VSAT 1m可搬局 大型地球局 (4.8m ANT) 2.4m VSAT3-2 降雨減衰補償実験報告浅井敏男 高橋 卓 片山典彦Ka帯(マイクロ波帯域のひとつ。27~40 GHz)での衛星通信は、従来使用されていた衛星通信周波数資源ひっ迫の緩和に加え、広帯域、高速の通信を実現する手段として重要である。一方Ka帯での降雨減衰はC/Ku帯等に比べ大きいため、降雨時の回線稼働率を上げるためには降雨減衰補償が必須となる。WINDS衛星を使用したKa帯での降雨減衰補償実験により、その有効性を検証したので報告する。あわせて、Ka帯での降雨減衰特性測定で得られた、降雨減衰量と降雨量及び降雨減衰量と降雨減衰の変化速度の相関も報告する。693 超高速衛星通信技術
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