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きである。各伝送モードでの両者の推定EIRPとパケットロスの相関がほぼ一致しており、上記推定が妥当であることが検証できた。なお、この実験時のIDU UPC動作パラメータは遮蔽板による受信周波数帯域と送信周波数帯域の減衰量がほぼ同じであるために用いた実験用の値である。実際にはアップリンク降雨減衰量はダウンリンク降雨減衰量のおおよそ倍であるので、THR rain fade (K1/K2)、Coefficient (K1)、Coefficient (K2)はそれを勘案して決める必要がある。2.2アップリンク伝送モード変更による降雨減衰補償WINDS再生交換中継のアップリンク伝送モードは1.5 M/6 M/24 M/51 M TDMAがあり、それぞれの衛星上での所要C/Noは2007年6月のWINDS回線設計最終設計審査(CDR)資料によると73.6 /79.7 /85.7 /88.7dB/Hzである。例えば、晴天時に51 MモードTDMAを使用していた場合、降雨時に伝送モードを下げることにより、利用可能伝送速度/伝送量は低下しても通信は継続できる。この方法による降雨減衰補償量は理論上では88.7–73.6=15.1 dBである。図7に1.2 m VSATを使用して関東MBAで測定した地球局推定EIRP対パケットロスを示す。地球局推定EIRPは地球局レベルダイヤグラムより換算した値である。測定結果は51 Mモードで若干復調器性能が悪く、早めにパッケトロスが発生する。一方1.5 Mモードでは若干復調器の感度が良いように見える。結果は、理論値15.1 dBとは1 dB位の誤差がある。1.2 m VSATの地球局推定EIRPの妥当性を1 m可搬VSATの地球局推定EIRPと比較することにより検証した。検証結果を図8に示す。各伝送モードでのパケットロスと1.2 m VSAT/1 m可搬局の推定EIRPがほぼ一致していることから、地球局EIRPの推定が妥当であることがわかる。MBA関東1ビームのみ使用、かつダウンリンク衛星出力電力280 W時の1.2 m VSATの標準レベルダイヤグラム及び回線設計例を図9及び表1に示す。図7 地球局推定EIRP対パケットロス (MBA)図9 1.2 m VSAT標準レベルダイヤグラム (MBA)ATT設定値1.9~2.5GHz27.5~28.1GHzGain設定値アソシエーション時設定2927Output Level (dBm)-26.7-31.214.82.329.327.4Gain/Loss (dB)-4.546.0-12.527.0-1.947.6伝送Modeinput(dBm)gain(dB)output(dBm)output(W)EIRP(dBW)1.5M2.327.029.30.8445.06M8.327.035.33.4051.024M14.326.941.213.2956.951M18.326.244.528.4360.2WGSSPA非線形考慮後ANTIDUIFL20mBUCATT/WGSSPA 1.5M6M24M51M155M上り回線周波数GHz28.0528.0528.0528.05 地球局送信 W0.853.3913.1828.18dBm29.335.341.244.5給電損失dB-1.9-1.9-1.9-1.9アンテナ利得dBi47.647.647.647.61.2m ANTEIRPdBW45.051.056.960.2指向誤差損失dB-0.5-0.5-0.5-0.5 伝播損失 自由空間損失dB-212.7-212.7-212.7-212.7 大気吸収損失dB-0.3-0.3-0.3-0.3 降雨減衰dB0.00.00.00.0衛星 G/TdB/K20.320.320.320.3 上り回線C/NodB80.486.492.395.6 送信機出力W280.0給電損失dB-1.0アンテナ利得dBi49.1EIRPdBW 72.6 下り回線周波数GHz 18.25 伝播損失 自由空間損失dB-208.9 大気吸収損失dB-0.2 降雨減衰(注)dB0.0地球局受信 指向誤差損失dB-0.5 G/TdB/K23.11.2m ANT下り回線C/NodB114.7 変調速度Mbps2.31259.253774.0203.5シンボルレートMsps1.156254.62518.537.0101.75ユーザデータ速度Mbps1.5366.1442451.8155.52 所要C/NodB73.679.785.788.793.9 C/NマージンdB6.86.76.66.920.8 MBA関東ビーム備考送信機出力表1 回線設計例(晴天時、MBA関東ビーム)図8 1.2 m VSAT/1 m可搬VSAT推定EIRP対パケットロス (MBA)3 超高速衛星通信技術72 情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)
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