HTML5 Webook
77/168
MBAと同様に、図10に2.4 m VSATを使用してAPAAで測定した地球局推定EIRP対パケットロスを示す。地球局推定EIRPは地球局レベルダイヤグラムより換算した値である。上記APAAの地球局推定EIRP対パケットロス特性と図7 MBAの特性を比較すると、地球局推定EIRPが約11 dBシフトしてほぼ同一の特性となっていることがわかる。地球局推定EIRP 約11 dBシフトはAPAAとMBAの衛星G/T差である。WINDS搭載ベースバンド交換部 (ABS)の復調部はAPAAとMBAは共用ゆえ上記結果が得られるのは当然である。アップリンク降雨減衰補償のまとめとして、UPC及び伝送モード変更による方法の両方共ほぼ理論とおり動作することが検証できた。また、両者を併せたアップリンク降雨減衰補償量はMBAでは、VSAT最大EIRP 61.7 dBWと図7に示す1.5 Mモードでのパケットロス発生直前の35 dBWとの差 26.7 dBとなることがわかった。APAAではアンテナサイズ及びHPA飽和出力電力が大きい2.4 m VSATの最大EIRP 77.2dBWと1.5 MモードMBA 35 dBWから約11dBシフトの約46 dBWとの差約31.2 dBである。ダウンリンク降雨減衰補償WINDS再生交換中継ダウンリンク信号伝送モードは155M一種類である。WINDSは国内外8つの地域へ同時に固定通信回線を提供するための8ポートのマルチポート増幅器(MPA)を搭載しており、それぞれのポート出力電力を合計出力電力280 W以内で変えることができる。基準局は各サービスエリア内のVSATから基準局へ定期的に送信されるリファレンスバーストC/Noマージン値を統計処理し、MPAの各出力ポート電力を余剰電力の範囲内で調整してダウンリンク降雨減衰補償を行う[3]。MBAの衛星EIRPは送信スポットビームの数により変わる。例えば、関東ビーム1ビームでは表1に示すとおり鹿島で72.6dBWで、晴天時の1.2 m VSAT受信でのC/Noマージンは20.8 dBである。MBAスポットビーム数は提供サービスエリア数により変わるが最大は8である。単純に8ビームに同じ電力を割り当てると晴天時の1.2 m VSAT受信でのマージンは11.3 dBとなる。一例として8ビーム運用で1エリアのみ豪雨で余剰衛星電力のすべてをここに集中、他のエリアは6 dBの降雨マージンで済む程度の天候状況の場合のダウンリンク回線設計を表2に示す。晴天エリア豪雨エリア衛星送信 送信機出力W10.0210.0 給電損失dB-1.0-1.0 アンテナ利得dBi49.149.1 EIRPdBW58.171.3伝搬損失 自由空間損失dB-208.9-208.9 大気吸収損失dB-0.2-0.2 降雨減衰dB0.0-19.0地球局受信 指向誤差損失dB-0.5-0.5 G/TdB/K23.123.1下り回線C/NodB100.294.4変調速度Mbps203.5203.5シンボルレートMsps101.75101.75ユーザデータ速度Mbps155.52155.52所要C/NodB93.993.9C/NoマージンdB6.30.5再生交換中継Downlink表2 ダウンリンク降雨減衰補償時の回線設計例実際には各エリアの衛星アンテナ利得等も変わり、すべてのVSATが1.2 m以上のアンテナサイズでも図10 地球局推定EIRP対パケットロス (APAA)3図11 受信C/No対パケットロス特性 (MBA)733-2 降雨減衰補償実験報告
元のページ
../index.html#77