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2.2フルオート可搬局フルオート可搬局は、表2及び図2に示すように開口径100 cmのオフセット型の反射鏡アンテナ、アンテナ給電部、収納箱を兼ねたアンテナ架台及び変復調器などで構成される。75 Wの進行波管電力増幅器、低雑音増幅器などはアンテナ給電部に一体化して実装されており、フルオート可搬局は工具なしで容易に組立て可能な構造になっている。またGPSコンパスとGPS受信機を搭載したことにより、衛星の自動捕捉が可能であり、自局位置は自動で入力されるため、地球局の初期設定作業が自動化されている。災害対応に有効な開発と実証実験3.1小型車載局を用いた道路段差の検出・伝送システムの開発大災害が発生すると被災地の対応力(消防や警察など)だけでは災害対応が困難であり、全国から応援組織が派遣される。そのとき、重要なのが道路被害情報(道路被害箇所、道路段差の高さ、道路段差の長さなど)である。東日本大震災の発生時、国土交通省は防災ヘリコプターなどを使い、道路などの被害状況を確認した。しかし、防災ヘリコプターや職員の人海戦術による情報収集には限界があったことから、被害当日の夜の時点で状況を確認できた国道は東北6県の約7割程度であった[3](このことから、例えば、愛媛県などでは民間ボランティア組織とアマチュア無線などを利用し、道路被害情報を収集する仕組みを構築している)。2004年新潟県中越地震の例をみると、最も早い消防応援隊は約5時間で被災地に入っており[4]、東日本大震災時も同じ時間で被害地に入っている[1]が、この時間帯においては、まだ道路被害情報の把握が完全ではない。そこで、より迅速な対応ができるように、災害現場に出動する緊急援助消防隊または緊急機関と一緒に移動することを想定し、小型車載局に加速度センサーやカメラなどを設置し、道路被害情報(特に段3図1 小型車載局表2 フルオート可搬局の諸元図2 フルオート可搬局図3 システムの構成送信周波数27.5~28.6GHz受信周波数17.7~18.8GHz 偏波直線偏波(送受平行)アンテナ径1mクラスHPA75Wクラスアンテナ駆動範囲El: 15~75degAz: ±95degWINDS中継回線再生交換中継回線  上り:1.5、6、24、51Mbps  下り:155MbpsユーザインタフェースEthernet (1000base-T)80   情報通信研究機構研究報告 Vol. 63 No. 2 (2017)3 超高速衛星通信技術

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