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差情報)の検出と検出した道路被害情報を災害対策本部へWINDS経由で送信できる道路段差システムを開発した。3.1.1システムの概要本システムは、小型車載局車両に設置される計測用PC(以下、車載PC)と災害本部に設置される道路被害情報閲覧PC(以下、災対PC)から構成される。車載PCには、GPS付きの加速度センサー1(MicroStrain社製3DM-GX3-35)と加速度センサー2(MicroStrain社製3DM-GX3-25)、USBカメラ(Logicool社製HD PRO WEBCAM C920R)が接続される。加速度センサー1は小型車載局車両前輪のショックアブソーバ付近の車体面に設置し、加速度センサー2は後輪のショックアブソーバ付近の車体面に設置する。USBカメラはダッシュボードの上に設置し、車載PCはIDUに有線で接続されている。車載PCでは道路段差の検出と検出したデータの伝送を行い、災対PCでは車載PCからリアルタイムで送られてくるデータを受信し、データの描画を行う。図3に本システムの構成を示す。3.1.2道路段差の検出本システムは、加速度センサーをサスペンション上部の車体面に設置し、センサーで得られた加速度データ[m/s2]を用い、上下動の振幅[mm]を検出する八木の手法を借用している[5]。本システムでは、上下動振幅が小さいところから大きいところまでの差である段差高[mm]と、その間走行した距離である段差長[mm]を計算している。また、走行に支障のないうねり成分も検出することができる。図4は災対PCの画面を示したものであり、左側に地図画面、右側に受信データ一覧が表示される。受信データは車載PCが送信したタイミングごと分割された形で、開始地点の緯度経度、区間の距離、段差の数、開始地点の住所情報が表示される。3.1.3検出された段差高データと現地調査で得られたデータの比較本システムで検出される道路段差情報の精度を検証するため、NICT鹿島宇宙技術センター近くの住宅地の一般道を走行し、道路段差情報を取得した後、現地調査を行い、簡易的な方法で段差の高さ(cm)を把握した。なお、走行した道路は東日本大震災時に段差が生じており、補修する前の道路である。図5に本システムにより検出された段差高(cm)と現地調査で得られた段差高(cm)を比較したものを示す。実際の高さより高く評価された場所や逆に低く評価された場所も見られるが、おおむね対応関係にあることが分かる。災害発生直後、道路被害情報がない中では、十分意味のあるデータである。本システムを活用すれば、災害現地に向かって移動中の部隊からリアルタイムで送られてくる道路被害情報を閲覧、または関係部局と共有することが可能である。図4 災対PCの画面813-3 災害対応に有効な衛星通信の開発と実証実験

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