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搬局⇔IP-PBX⇔光電話GW⇔固定電話網⇔固定電話の順である。3.3.2音質評価条件音質評価法には「主観音質評価法」と「客観音質評価法」がある。主観音質評価法は多数の評価者が直接音質を評価するため、正確な評価が可能である反面、多くの時間やコストを必要とする。一方、主観音質評価法で得られる値と同等の値を、音声の物理的な特徴から推定する客観音質評価法が確立されており、時間・コストを大幅に削減できることや同じ入力が与えられた場合には必ず同じ評価値を出力することなどの利点を持つことから、客観音質評価法が多く使われている。本研究では客観音質評価法のひとつであるメディアレイヤモデルのPESQ(ITU-T P.862)を用いて、音質評価を行った。評価条件は、下記のとおりである。・話者−男性2名、女性2名−各14発話−合計6分(発話の間は2秒)−16 kHzサンプリング・接続−オーディオインターフェースからケーブルでスマートフォンのコンポジャックに直接接続図9にサンプリングをするため、用いた装置を示す。なお、話者のデータとして使用したのは「日本音響学会研究用連続音声データベース」である。3.3.3音質評価の結果WINDS回線と音声通話システムを利用し、電話網につないだ場合、意思疎通が可能か否かについて、PESQ(ITU-T P.862)を用いて音質評価を実施した。図10に音質評価結果を示す。縦軸はPESQ値であり、横軸は電話アプリの種類を示している。ここでは、「災害電話」を用いた場合、SIPクライアントである「Zoiper」を用いた場合、スマートフォンAから「SkypeOut」を用いて固定電話に電話をかけた場合、スマートフォンAから「LINE」を用いてスマートフォンCに電話をかけた場合をそれぞれ評価し、その平均値をプロットしている。「災害電話」のPESQ値は2.6(コーデックはSpeex8k)と 3.3(コーデックはμ-law8k)であり、音質が良いとされている「Zoiper」のPESQ値は2.7(コーデックはSpeex8k)と 3.1(コーデックはμ-law8k)を示しており、両者において大きな差は見られなかった。また、「SkypeOut」のPESQ値は3.4、「LINE」のPESQ値は4.0で最も高い結果となり、これらは元々インターネット経路上でのパケットのゆらぎや高遅延環境での図8 音声通話システムのネットワーク構成図9 サンプリング用の装置833-3 災害対応に有効な衛星通信の開発と実証実験

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