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Unmanned Aircraft System、以下、UASと表記)による非常通信網構築と災害情報収集及び伝達に関する実証実験を実施した公開実験について報告する。訓練は、「大規模地震の発生による列車事故が原因で多数の負傷者が発生し、多くの緊急医療チーム、消防隊員らが派遣されることになったが、基地局の物理的な被害や輻輳などにより、公衆網のネットワークが使用できない状況下での活動」を想定している。そのため、NICTはまず、移動中でも衛星通信ができる小型車載局とUASを連携させ、非常通信網を構築した(図12)。これにより、訓練参加者ら(以下、医療チーム)は輻輳の影響を受けることなく、災害対策本部や後方地域と情報共有が可能である。医療チームへの応援要請直後は災害全体を把握する必要があり、UASに搭載されたカメラ映像を小型車載局経由で災害対策本部まで伝送した。医療チームや緊急消防援助隊が移動する際には、小型車載局も一緒に移動しながら、小型車載局に設置されているカメラや道路被害把握システムを用いて、災害現場までの被害の様子、アクセスできる道路とその道路の被害状況をリアルタイムで災害対策本部まで伝送した。さらに、医療チームと緊急消防援助隊が活動地域に到着した直後から活動を終えるまで、構築した非常通信網を医療チームへ提供しつつ、小型車載局とUASからの現場映像を災害対策本部まで伝送した。医療チームからは、派遣される前にUASの映像により、医療機器や医薬品を準備できたこと等について高く評価された。4.22016年度政府総合防災訓練における大規模地震時医療活動訓練における公開実験2016年8月6日(土)に実施された「2016年度政府総合防災訓練における大規模地震時医療活動訓練」にWINDS車載局、メッシュネットワーク等を派遣し、図12 WINDSと小型無人飛行機の連携で構築した非常通信網(上)、派遣する前に現場状況を確認する医療チーム(左下)と現場でのトリアージの様子(右下)853-3 災害対応に有効な衛星通信の開発と実証実験

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